動脈硬化の進み方

動脈硬化は何の症状もなく、ゆっくりと進みます。これはどの成人病にも共通する性格ですが、この『何の症状もなく』というのがとっても恐いところで、気がついたらかなりの進行状態だったという事が少なくありません。

血管は一つのゴムホースのようなモノです。長く使い続けていると水アカが貯まったり弾力性が失われて脆くなったり、裂けやすくなったりします。この状態が動脈硬化に少し似ています。

動脈硬化が進展するパターンを模式的に提示しておきます。なお、ここで使用した図は萬有製薬株式会社発行の『動脈硬化の退縮 最近の知見とその臨床的関連性および将来への展望についての概説(非売品)』より転載させて頂きました。



正常な血管

これは何も動脈硬化を起こしていないきれいな血管。左は血管というホースに沿って切った断面図、右は輪切りにしたものです。血管は外から外膜、中膜、内膜の3つの層で作られていることが分かります。いつまでもこんな血管でありたいものですね。
                  

動脈硬化の始まり

血管の内膜に黄色い脂肪が貯まり始めています。この段階では全く症状はありません。
                  

症状の始まり

血管内膜に蓄積された脂肪が盛り上がり、血液の流れを妨げ始めます。この段階で始めて血液不足による症状が出現します。この変化が脳の血管に強く起これば一過性脳虚血(TIA:Transient Ischemic Attack)という症状を起こします。また心臓の血管に強く起これば、狭心症を来す事になります。
                  

SOS!!

動脈硬化で脆くなった血管の内膜から出血を起こし、それが血栓となって血管をふさいでいます。血液は完全に流れなくなり、そこから先の部分は死んでしまいます。これを壊死(えし)と言います。脳の血管にこれが起これば、脳血栓。心臓の血管に起これば心筋梗塞になってしまいます。いや〜、恐い恐い(^^;)。