Fuji Television Japanese Grand Prix 2002
2002年 F1世界選手権第17戦 日本グランプリ
やったぞ琢磨! 予選7位、決勝5位の快挙
優勝はシューマッハ
今年もエフワンが鈴鹿にやってきました。
今シーズンは、とにかく「王者」フェラーリの強さばかりが目立ち、ここまで16戦を終えてシューマッハが10勝、パリチェロが4勝、1−2フィニッシュが8回、シューマッハは全戦完走で優勝したレース以外は2位が5回で3位になったのが1回のみ・・・というとんでもない記録をうち立てたシーズンとなりました。
これに対して、日本人としては今年初めてF1に参戦することになったトヨタと、ジョーダンからデビューした佐藤琢磨の二つの「ジャパンパワー」に期待が集まったシーズンでしたが、前戦のUSGPまではトヨタが第1戦オーストラリアと第3戦ブラジルでそれぞれ6位になったのが最上位、佐藤琢磨は予選最上位12位、決勝最上位8位と、いずれもここまではやや期待はずれの結果となっていました。
こうした中、土曜日に開催された予選では、やはりシューマッハが圧倒的な強さを見せ、1分31秒317というコース新記録でポールポジションを獲得しました。このスピードに着いていけるライバルはなく、シューマッハは4回まで許されているタイムアタックを3回で切り上げ、余裕を持って翌日の決勝に進むことになりました。
しかし、この日のハイライトはシューマッハではなく、紛れもなく我らがエース。初めての凱旋レースとなる佐藤琢磨でした。常にチームメイトのフィジケラをリードするタイムを出し続け、最終となる4回目のアタックでは1分33秒090を叩き出して予選7番手を獲得したのです。このタイムは予選6位のモントーヤ(ウィリアムズ)に約0.5秒遅れるだけのもので、トップ3チーム(フェラーリ、マクラーレン、ウィリアムズ)とのマシンの差を考えるとほとんどポールポジションと言っても良いようなものでした。
そして迎えた日曜日、決勝でもフェラーリの優位は全く揺るぎませんでした。タイヤ交換と燃料補給のためのピットインのタイミングの差で一時的に後続車に順位を譲ることはあったものの、事実上は最初から最後まで1位、2位の座を脅かされることもなく、淡々と53周を走りきって今季9度目(!)の1−2フィニッシュを果たしました。
しかし、この日の主役はシューマッハではなく、明らかに佐藤琢磨でした。
スタートでは、優秀なラウンチコントロールシステムを有するルノーのバトン、トゥルーリが佐藤を脅かしましたが、第1コーナーの進入でギリギリの競り合いを制して佐藤が7位をキープ、その後も一回目の給油のためにピットインするまで佐藤、バトン、トゥルーリの7位争いが続けられました。
一回目のピットインが終了した時点では、ルノーの2台に先行を許した佐藤ですが、ピットイン時にフロントウィングを調整した結果、ルノーを上回るスピードを取り戻し、二回目の給油ピットインを終えた時点でバトンよりも前でコースに復帰することに成功。その直前にトゥルーリがマシントラブルでリタイヤし、さらにマクラーレンのクルサードも既にリタイヤしていたことから、この時点で佐藤は入賞圏内の6位に浮上。スタンドでは佐藤が通過するたびに日の丸や黄色い応援フラッグが次々と振られて行き、大声援が沸き起こりました。
そして、終盤には、ウィリアムズのラルフ・シューマッハがマシントラブルでリタイヤ。この結果、佐藤は5位にポジションを上げることとなり、結局この順位を保ったままでゴールイン。これまでの決勝順位最高位(8位)を上回る結果で、初入賞、選手権ポイント2点を初めて獲得しました。
レース結果はシューマッハの圧勝に終わったレースですが、会場の雰囲気はもう佐藤が優勝したような大騒ぎ。シューマッハがレース後のインタビューで「今日のレースには勝者が2人いる。」と言ったのは、自身の快挙が佐藤の活躍で霞んでしまったことに対するちょっとした皮肉なのかもしれませんね。
2002 F1世界選手権第17戦 F1日本グランプリ レース結果
| 順位 | ドライバー | チーム | マシン |
| 1位 | ミハエル・シューマッハ | スクーデリア・フェラーリ・マールボロ | フェラーリF2002 フェラーリ051 |
| 2位 | ルーベンス・バリチェロ | スクーデリア・フェラーリ・マールボロ | フェラーリF2002 フェラーリ051 |
| 3位 | キミ・ライコネン | ウェスト・マクラーレン・メルセデス | マクラーレンMP4-17・メルセデスベンツF0110M |

シーズン全17戦の全てで表彰台(史上初)、年間勝利数11(史上最多)、5度目のシリーズチャンピオン(史上最多タイ)、今シーズン終了時点での通算勝利数64(史上最多)、通算獲得ポイント945(史上最多)。
もう、何も言うことはありません。今シーズンは、シューマッハとフェラーリがF1の全てでした。去年も終わってみればシューマッハ圧勝の年でしたが、今年はそれを遥かに上回る記録的なシーズンとなりました。でも、いつもいつも巨人が勝つ野球というのはね・・・・、来年に期待しましょう。
1位と2位をフェラーリが独占する表彰台。
なんと、この光景を今年は8回も見せつけられることとなりました。これも、たしかセナ・プロスト時代のマクラーレン・ホンダに並ぶタイ記録のはずです。
昨年は、ファン・パブロ・モントーヤが2位に入って新しい力の台頭を観客に印象づけましたが、今シーズンのモントーヤは選手権ポイントこそフェラーリの2台に次ぐ3位を獲得したものの、いまいち迫力に欠けるレースが目立ちました。代わって実力を示し始めているのが、今回3位に入ったキミ・ライコネン。選手権ポイントは6位ですが、マクラーレンが復調するに従って、トップを狙う力があることを印象づけています。来年は、シューマッハのライバルとなることができるのでしょうか。
TODAY'S DRIVERS

今回鈴鹿を訪れたファンはラッキーだったと思います。
久々に、本当に久々にレース終了まで日本人ドライバーが元気に上位を走る姿を見ることができたのですから。
それでも、レースが進むに従ってパニスがトラブル、ビルニューブがエンジンブローでリタイアし、ついにフィジケラのマシンが派手に煙を吐いてストップした姿が場内のスクリーンに映し出されると観客からは悲鳴にも似た声が上がりました。その後は、「なんとかマシンが壊れずに最後まで走りきれますように」という、祈りにも似た観客の願いが、大きな声援となって、あるいは一斉にうち振られるフラッグとなって、会場内を琢磨のマシンと共に走り抜けました。
最後は、「シューマッハが琢磨を抜いてくれれば周回数が一周少なくて済む。頼むから抜いてくれ。」という場内FM放送の声援(?)も空しく、シューマッハは琢磨を周回遅れにしないままチェッカー。しかし、琢磨も何らトラブルを起こすこともなく無事に最後の一周を走りきって見事に5位入賞、選手権ポイント2点を獲得しました。
最後の最後で大活躍を見せた佐藤ですが、実は来シーズンもF1をドライブするかどうかは微妙な状況です。チーム代表のエディ・ジョーダンは「琢磨の才能は認めるが、うちのチームは財政的な問題を抱えており、彼が来シーズンもチームに残るためにはもっと資金が必要だ。」というような発言をして、大きな個人スポンサーがつかない限りチーム残留は難しいという意向を示しています。
この素晴らしい才能を埋もれさせないために、是非ともスポンサーが現れて欲しいものです。来年も頼むよ、琢磨!

何故か、髪の毛を青く染めたミカ・サロ。
今シーズンからF1への挑戦を始めたトヨタチームのエースドライバーです。
1991年から94年まで全日本F3000に4年間参戦、F1デビューは1994年の日本GP(ロータス!)、母国のフィンランドでは日本食レストランを経営、そして奥さんは元マツダのキャンペーンガールだった遠藤賀子(のりこ)さん・・・、と日本にはとっても縁の深いドライバーですが、これにまたトヨタF1のデビュードライバー、トヨタF1の初ポイント獲得ドライバーという肩書きがプラスされました。
今季は、第1戦、第3戦で6位に入賞し、2ポイントを獲得しましたが、第4戦以降はマシンの戦闘力もあり、入賞圏外に終わってしまいました。
来シーズンはF1から離れることが既に明らかになっているのが残念ですが、経験豊富でなおかつ速いドライバーですから、アメリカのCART、あるいはスポーツカーレース等でその姿を見られることになるでしょう。もしかしたら、日本での活躍が見られることなるのかもしれません。
Topics

元ベネトンのメカニックだった津川哲夫さん。
今回は、ルノー(元ベネトン)のキャンペーンで、F1マシンを材料にしたトークショーをやってくれました。
津川さんが手にしているのは、今シーズン、ルノーのマシンが実際に使用しているステアリングホイールだそうです。津川さんによると、現在のF1では「車の方向を変える」のはステアリングホイールの機能のごく一部でしかなくなっているとのこと。
無線のトークボタンやシフトレバー、クラッチがついているのはもちろん、コンピュータが内蔵されていてあらかじめプログラムされたシフトアップ・ダウンを自動的に実行したり、様々な情報をスイッチ一つで切り替えてステアリングホイール上の液晶画面に表示させたり、もはや単なる「ハンドル」ではなくて、マシンをコントロールするための極めて高度なマン・マシン・インターフェースであると言えるのだそうです。
それにしても、300Km/hを超えるスピードでバトルをしながら、この小さなステアリングホイールを使ってシフトチェンジをしたり、無線交信をしたり、表示を確認したり・・・・、やっぱりF1ドライバーというのは特別な存在なんだなぁと改めて実感してしまいます。

アロウズ亡き(ほぼ破産(;_;)状態)後、F1界の最下位集団を独走するミナルディ。
あの近藤真彦にも「あいつ、ヘタ。遅すぎぃ・・・」とけちょんけちょんに言われていたアレックス・ユーンが母国マレーシアの期待を受けて出走しているチームです。
とりあえず、今シーズンはユーンのチームメイトのマーク・ウェーバーが開幕戦で5位に入賞したことで、選手権ポイントではアロウズ、トヨタと並び9位を獲得し、チームでは祝勝会をするそうです。
チームの来年がどうなるかも難しい時期なんですが、日曜日の朝にはメカニックの一人が海パンに水中メガネでタイヤ交換の練習をするお茶目な場面も見せてくれました。「おいおい、そのエネルギーをもっと他に向けられないかい(;_;)」と思ったのは私だけでしょうか・・・(^^;
|