2003 F1 日本グランプリ

My Private Time
Motor Sports Gallery


Fuji Television Japanese Grand Prix 2003

2003年 F1世界選手権第16戦 日本グランプリ




BARホンダ ポスター(JPEG)


M.シューマッハ 6度目の世界チャンピオン!!

急遽参戦の佐藤琢磨は2年連続入賞の6位


 今年もエフワンが鈴鹿にやってきました。

 昨年はとにかく「王者」フェラーリの強さばかりが目立ったシーズンでしたが、今シーズンは打って変わって大混戦が繰り広げられました。これまで15戦を経過して、優勝したドライバーは、M.シューマッハ、バリチェロ(以上フェラーリ)、モントーヤ、R.シューマッハ(以上ウィリアムズ)、クルサード、ライコネン(以上マクラーレン)、フィジケラ(ジョーダン)、アロンソ(ルノー)の8人に上っています。15戦で8人の優勝者ということは、いわば2戦ごとにウィナーが変わっているということで、特に上位3チームでは全てのドライバーが優勝を遂げるなど、まさに実力伯仲のシーズンとなりました。

 そんな中、最終戦となったここ鈴鹿では、今シーズンこれまで6回の優勝を果たしたM.シューマッハがシリーズチャンピオン争いで圧倒的に有利なポジションにいるものの、ライコネンが優勝・M.シューマッハが入賞圏外となればライコネンにもチャンピオンのチャンスが残されました。
 ということで、本来であれば今回の鈴鹿のハイライトは「年間チャンピオンはシューマッハか?、ライコネンか?」が最大の焦点になるはずだったのですが、予選スタートの前日になってBARホンダチームのエース、ジャック・ヴィルニューブが突然欠場を表明し、第3ドライバーの佐藤琢磨の出場が決定したため、琢磨の活躍に対する期待が一気に盛り上がりました。

 土曜日の予選では、金曜日の予選1日目に上位5位を占めた各ドライバーが出走する時間になって急に雨が降り出したことにより、ライコネンが8位、M.シューマッハが14位に沈むという大番狂わせの結果となってしまいました。

 そして迎えた日曜。ポールポジションからスタートしたバリチェロを1周目でかわして先頭に出たのはウィリアムズのモントーヤ。バリチェロよりも1周1秒近く早いペースで逃げの体勢に入りました。ところが、9周目に油圧計のトラブルが発生しリタイヤ。トップはバリチェロ、2位にクルサード、3位にライコネンとマクラーレンコンビが並びました。
 M.シューマッハは5周目のシケイン進入で琢磨と接触してフロントウィングを壊し、緊急ピットイン。最後尾に転落してしまいます。もしこのままレースが進み、バリチェロにトラブルが発生すれば、「ライコネン優勝、M.シューマッハ入賞圏外」となって、ライコネンの逆転優勝があり得る・・・という事態になってきたのです。した。
 このため、M.シューマッハは最後尾から8位の座を目指して猛追を開始しました。途中、トヨタのダ・マッタを追いつめようとしてプレーキングをミスし、そのあおりで弟のR.シューマッハと接触するという危ない場面もありましたが、そこは世界チャンピオン5度の貫禄でなんとか切り抜け、レース終盤には無事に8位の座を手中にしました。
 結局、トップをいくバリチェロには何のトラブルも発生せず、終わってみればバリチェロ優勝、M.シューマッハは前人未踏6度目の世界チャンピオン、加えてフェラーリチームは1999年以来5年連続コンストラクターズ(製造者)タイトル獲得、さらにはフェラーリチームが使用したブリヂストンタイヤがミシュランタイヤに対して9勝7敗の勝ち越し・・・・と、万々歳、あるいは「予定通り」の展開となったレースでしたが、レース中は本当に見所満載のおもしろいものでした。

 また、佐藤琢磨はBARチーム移籍後の初レース、なおかつ丸々一年間は実戦から遠ざかっていたというハンディにもかかわらず、同僚のバトンに劣らないペースで周回を重ねて見事に6位入賞を果たし、速さと確実性を併せ持ったドライバーであることを示しました。




2003 F1世界選手権第16戦 F1日本グランプリ レース結果


順位ドライバーチームマシン
1位ルーベンス・バリチェロスクーデリア・フェラーリ・マールボロフェラーリF2003-GA・フェラーリ052
2位キミ・ライコネンウェスト・マクラーレン・メルセデスマクラーレンMP4-17D・メルセデスベンツFO110M
3位デビッド・クルサードウェスト・マクラーレン・メルセデスマクラーレンMP4-17D・メルセデスベンツFO110M




スターティング・グリッド(jpeg)



 土曜日の予選、トップ5の出番を残して降り出した雨がこれまでにない光景を見せてくれました。
 気がはやりすぎたのか予選ではアクセルコントロールを誤り、13位のスターティンググリッドとなった佐藤琢磨ですが、その直後の14位にはなんと、M.シューマッハがつけたのです。もちろん、シューマッハは他のドライバーではコース上にとどまることも困難な雨の中で出したタイムですから、これが実力であるわけはないのですが、それでもファンとしては密かに心躍る風景であったのはまちがいありません。
 来シーズンは、実力で琢磨がミハエルより前のグリッドからスタートする光景を見ることができるのでしょうか。




バリチェロ ゴールシーン(jpeg)



 手を挙げてゴールインするルーベンス・バリチェロ。
 昨年は圧倒的な強さを見せたフェラーリですが、今シーズンは序盤でマクラーレンにリードを許し、後半はウィリアムズが猛追を見せるなど、非常に厳しいシーズンとなりました。
 今回のレースでもドライバー選手権はキミ・ライコネン、コンストラクターズ選手権はウィリアムズに、それぞれ優勝の可能性があっただけに、セカンドドライバーであるバリチェロに対する期待は非常に大きかったはずです。
 しかも、エースのM.シューマッハは予選で雨にたたられ、決勝では琢磨に追突するなどして非常に危うい状況にあっただけに、バリチェロが終始安定した走行を続けたことはチームにとって大きな助けになったと思われます。
 それにしても、もともとラテン系でお家騒動が絶えないといわれ続けていたフェラーリですが、ここのところエディ・アーバインといい、ルーベンス・バリチェロといい、良いセカンドドライバーを擁していますねぇ。
 まあ、これも一説にはM.シューマッハがセカンドドライバーの人選にまで絶大な権限を持っているからだとも言われていますが、それでも勝てれば誰も文句は言えないでしょう。



  佐藤琢磨 ゴール(jpeg)



 ガッツポーズでチェッカーを受ける佐藤琢磨。
 昨年は5位に入賞したのですから、今回の6位という成績は物足りないと思う方がいるかもしれません。でも、去年の5位と今年の6位とは全くその意味合いが違っているのです。

 デビューレースであった昨年は、序盤からつまらないミスでクラッシュする事が多く、必ずしもマシンのパフォーマンスを常に最大限発揮していたとは言えないレースが続きました。そんな中、予選、決勝を通じて初めて全ての要素がうまくかみ合い、上位陣の脱落にも助けられて5位というポジションをやっとの思いで手にしたのが去年の鈴鹿だったのです。ですから、昨年は会場全体が「頼むからミスをしないで。お願いだからマシンよ壊れないで」と一周ごとに祈っていた状態でした。
 それが今年は、エースドライバーのビルニューブがレースの3日前に突然欠場を表明し急遽与えられた代役の座。BARチームから出る初めてのレース、担当メカニックと組むのも初めて、さらにレースへの出場自体が去年の鈴鹿以来1年ぶり、ということで、まさにぶっつけ本番。結果を出すのは非常に厳しい条件でのスタートとなりました。
 ところが、初めて走った金曜日の予選では同僚のバトンを上回る11位、土曜日の予選ではやや失敗して13位になったものの、決勝ではスタートで2台、レース中でも厳しいプレーキングでジャガーのウィルソン、ウェーバーを抜くなど元気いっぱいの走りを見せました。
。  チームがコンストラクターズ選手権5位の座を巡ってザウバー、ジャガー、トヨタ、ジョーダンと厳しい争いを続けていたため、レース終盤はポイントを確実に獲得するためややペースを落としたようですが、それまではジェンソン・バトンと比べても全く遜色のない走りをみせており、ビルニューブの代役を見事に務めました。
 それどころか、バトン4位、琢磨6位と2台そろっての入賞は今季初の快挙。BARチームにとっては今シーズンで最高の成績をあげたレースとなりました。チーム代表のデビッド・リチャーズが、<「琢磨を起用した甲斐があった」と手放しで喜んだのもむべなるかな、です。



表彰台(jpeg)



 優勝したバリチェロとフェラーリのボス、ジャン・トッドを真ん中に、ライコネン、クルサードのマクラーレンコンビが並んだ表彰台。
 去年は他チームを圧倒的に引き離して早々にチャンピオンを獲得したフェラーリですが、今年は最後までライバルに苦しめられました。終わってみればM.シューマッハとライコネンとのポイント差はわずかに2点。どこかで何か歯車がひとつ違っていれば結果は全く違ったものになっていたかもしれません。
 とはいえ、M.シューマッハが今シーズン6回の優勝を果たしたのに対し、ライコネンはわずか1回のみ。そのかわり、2位を獲得した回数が鈴鹿を含めて7回と上位入賞の度合いからすればM.シューマッハ以上の安定感を武器にチャンピオンを目指しました。しかしながら、チャンピオンのためには優勝が必須という条件で望んだ今回のレースでもやはり2位と、勝負運のなさが目立ってしまいました。しかしながら、ライコネンは今年初優勝を遂げたばかりの若干23歳の若武者です。ちょうど10歳年上の世界最強王者を打ち破ることができるのか、来年こそ真価の発揮される年となるでしょう。





Topics




  記念撮影(jpeg)



 日本GPではお馴染みとなった全ドライバーの記念撮影。
 バブル時代には30人を越える出場者数を数え、予備予選で振り落とされて予選すら出走できなかった選手が数多くでたことを思えば、わずか20人しか出場していない今年の記念撮影は非常にわびしく感じます。

 しかし、その選ばれた20人の中に日本人ドライバーが出場している光景を見ることは、嬉しくも誇らしいものです。

 残念ながら、来年の最終戦はブラジルGPとなるため、鈴鹿サーキットでの記念撮影は見られなくなりそうです。毎年、鈴鹿サーキットでは最終戦ならではの光景が楽しめたものですが、これはしばらくお預けのようです。




パレードに参加する佐藤琢磨(jpeg)



 ドライバーズパレードに参加した佐藤琢磨。
 テストドライバーとして過ごした1年は決して無駄ではなかったようです。昨年と比べて、飛躍的に自信と実力を身につけて鈴鹿に帰ってきました。
 今回のレースにおいて、コース上では誰にも抜かれなかったということは特筆に値すべきことでしょう。それも、琢磨の後ろを走っていたのは下位クラスのドライバーばかりではなく、ミハエル、ラルフのシューマッハ兄弟さえもいた訳ですから。結局、ミハエルとはシケインの進入で接触し、これがミハエルのチャンピオン獲得を大きく脅かすことになったのですが、これも結局はミハエルが「タクマは下位ドライバーだから道を譲るだろう」と思いこんで無理な追い越しをかけたことが原因で、琢磨は通常のラインを守っただけのこと。ある意味では、「たとえミハエルでも道を譲る気はないよ」という強気のドライバーであるという強烈な意思表示をしたことになるでしょう。もっとも琢磨自身はレース後にミハエルが話しかけてくるまで接触のことは知らなかったようですが。




ミハエル・シューマッハ(jpeg)



 伝説のチャンピオン、ファン・マニエル・ファンジオを越える6度目の世界チャンピオンを獲得したミハエル・シューマッハ。名実ともに「史上最強のチャンピオン」となりました。
 いつもなら、予選、決勝を通じて圧倒的な速さと強さを見せて、「さすがはチャンピオン」というレースをするのですが、今年は予選で雨にたたられ14位、決勝では判断を誤って琢磨と接触し最下位に転落、ブレーキングミスでラルフと接触し弟をリタイヤに追い込むなど、かなりドタバタしたレース展開になってしまいました。

 それでも、終わってみればきっちりと8位を獲得して、ライバルの動向いかんにかかわらず自力でチャンピオンの座を手に入れるところが「最強のチャンピオン」の貫禄でしょうか。




キミ・ライコネンMinardi(jpeg)



 最後の最後までM.シューマッハを脅かしたキミ・ライコネン。
 無口で、あまり闘争心を表に出さないところから、なんとなく線が細い印象を受けますが、同郷で前任者でもあるミカ・ハッキネン譲りのスピードには特筆すべきものがあります。
 とはいえ、今シーズンの優勝回数はわずかに1回。今年からルールが変更され、2位になったドライバーに与えられる選手権ポイントがこれまでの6点から8点にアップしたことの恩恵を最も大きく受けたドライバーであることは間違いないでしょう。

 今回のレースでも結局終わってみればやっぱり2位。レース後の公式インタビューで、「2位の座はもういいよ」とうんざりした調子で答えていたようです。来年は、M.シューマッハを堂々と優勝回数でも上回って年間チャンピオンの座を獲得できるのでしょうか?




トヨタ記念撮影(jpeg)



 シリーズ最終戦では、一年を戦い抜いた各チームが記念撮影をする姿が多く見られます。
 パナソニック・トヨタチームもその一つです。初めてF1に参戦した昨年は予選、決勝とも苦戦の連続で、わずかに開幕戦のオーストラリアGPと第3戦のブラジルGPでミカ・サロがそれぞれ6位に入賞したのが最高の成績と相当悔しい思いをしたはずです。
 しかし、そこは天下のトヨタ。今年の成績を見れば、去年1年が無駄ではなかったことがよくわかります。前戦のアメリカGPを終えた時点で選手権ポイント14点はザウバー(19点)、BAR(18点)、ジャガー(18点)、ジョーダン(13点)と並んで5位争いの権利を有している状態。しかも、第12戦のドイツGPではO.パニス5位、C.ダマッタ6位とダブル入賞、前戦のアメリカGPではパニスが予選3位を獲得するなど、意気軒昂に鈴鹿へ帰ってきました。
 そして迎えた土曜日の予選。雨によって上位につけるべきドライバーが下位に沈んだという幸運はあるものの、C.ダマッタが3位、O.パニスが4位とスターティンググリッド2列目を独占したのです。
 これに盛り上がったのが2万人とも言われるトヨタの大応援団。愛知県に本拠を構えるトヨタにとっても三重県の鈴鹿はホームグラウンドのようなもの。日曜日はいたるところでトヨタの応援グッズを身につけた人々を見かけました。
 決勝は、BARホンダをはじめ、3回のピットストップ戦略を選択したチームが上位を占め、2回ストップ戦略をとったトヨタチームは下位に甘んじてしまいましたが、この調子で進化が進めば、来年のトヨタチームはライバルにとって大きな脅威になるかもしれません。




ルノー記念撮影(jpeg)



 こちらはマイルドセブン・ルノーチームの記念撮影。
 最近は各チームの技術の平準化が進み、なかなか独創的な技術が出てき難くなっていますが、ルノーが2001年から投入した110度V型エンジンは他チームを驚かせました。
 現在主流となっている72度〜90度のバンク角を持つエンジンと比較すると、出力的には幾分劣るものの、エンジンの重心が大幅に下がることからコーナリングに優れたマシンを作り上げることができるというのがルノーチームの選択でした。
 結果的に、ルノーのマシンは高速コースでは他チームにおよばないものの、低速テクニカルコースでは圧倒的なスピードを誇り、新鋭フェルナンド・アロンソのドライビングともあいまって遂に第13戦ハンガリーGPで優勝(しかもアロンソの22歳26日という優勝年齢は歴代の最年少記録です)を遂げるにいたったのです。

 今回の鈴鹿でも、ルノーはその実力を十分にみせつけ、アロンソは17週目にリタイアするまで2位を走行、もう一人のトゥルーリはBARのバトンにわずかに及ばず5位と堂々たる結果を残しました。
 残念ながら、来年はこの110度ユニットをやめてオーソドックスなバンク角を採用するそうですが、そこはルノーのことですから、また何か新しいアイデアをもちこんでくるに違いありません。なにしろ、ターボエンジンも、油圧制御バルブも、今回の超低重心エンジンも、はじまりはみんなルノーなんですから。




土屋圭一&脇坂寿一(jpeg)



 F1では、レースの合間にいくつものイベントが開催されます。
 デリヂストンのPRコーナーで行われていた「ドリキン」土屋圭一と脇坂寿一のトークショーもその一つ。
 最近、フジテレビの「ジャンクスポーツ」という番組によく出演している脇坂ですが、一時期はF1ジョーダンチームのテストドライバーでもあったということを知っている人は少ないのではないでしょうか。
 おちゃらけ系の発言が多い脇坂寿一ですが、そのレーサーとしての実力は一級品。その脇坂にしてもテストドライバーの座からレギュラードライバーの座をつかむことは叶わなかったのですから、佐藤琢磨はやはり相当の逸材であるということなのでしょう。でも、脇坂は、「スポンサーさえついていれば自分もレギュラーになっていたはず。実力では負けてへんでぇ〜!」と思ってるんでしょうね。それでなきゃ、レーサーなんてやってられないでしょう。




清水宏保(jpeg)



 BARのピットに佐藤琢磨を激励に来ていたスピードスケートの清水宏保選手。
 清水選手といえば、長野オリンピックの決勝出走直前に精神をリラックスさせるために読んでいたのが「ヤングマガジン」の「頭文字D」であったというほどのクルマ好きだそうです。
 自らを「氷上のF1マシン」とするために、このピットで何か得たものはあったのでしょうか。