96 Suzuka Thunder Special

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NASCAR

SUZUKA THUNDER SPECIAL 100




96 NASCAR (JPEG)


 今年の鈴鹿サーキットは世界各地のさまざまな形のレースが楽しめるという点で、実に楽しいシーズンになりました。2週間前に開催された国際ツーリングカー選手権(ITC)が、技術の粋を尽くしてスピードを求める、ある意味ではストイックなまでに勝負にこだわるレースであったのに対して、今回鈴鹿で開催された「鈴鹿サンダースペシャル100」は、純粋にレースの楽しさを追求する「観客参加型」のイベントであるというところに大きな違いがあります。

 「NASCAR」というのは日本ではあまり聞いたことの無い言葉かもしれませんが、トム・クルーズ主演の映画「デイズオブサンダー」の舞台となったアメ車によるド派手なレースといえば少しは分かっていただけるでしょうか。アメリカ以外の国ではそれほど知名度は高くないものの、アメリカでは年間31戦が開催され、どのレースも15万人以上の人が押し掛けるという超人気スポーツとなっています。デイル・アーンハートやジェフ・ゴードン、ラスティ・ウォレスといったトップドライバー達の人気はメジャーリーグ、NBA、アメリカンフットボールなどの一流選手に一歩もひけをとりません。

 とはいえ、日本で本格的なアメリカンレースが開催されるのは実質的には初めて(60年代には「日本インディ」というようなイベントがあったとはいえ)ということもあり、一般のレースファンには馴染みのないレースであったため、観客の側にも結構とまどいがあったのも事実です(だいたい、ほとんどのドライバーは名前も聞いたことがない人ばっかりなんだから、応援のしようがない(^^;)。



鈴鹿 サンダースペシャル100 結果

順位ドライバーマシン
1位ラスティ・ウォレスミラー・フォード
2位デイル・アーンハート ACデルコ・シボレー
3位ジェフ・ゴードン デュポン・シボレー


 基本的に観客を楽しませるのがレースであるという哲学に基づいて開催されるのがアメリカンレースの特徴。東コース(2.2Km)100周で行われるレースを50周ずつ2セグメントに分け、第一セグメントの1位から10位までを逆にして(つまり、第一セグメントの10位がトップでスタート、9位が2番手で、8位が3番手で・・・・・1位が10位で、そして11位は11番手からのスタート)第二セグメントを開始するという(しかも、この方式…インバート・スタート…をとるかとらないかは第二セグメント開始前に観客の拍手によって決める)、いわば「不自然であろうガなんだろうが、とにかく強制的に見せ場を作ってしまう」というルールになっているのです。

 結局、レースはこのルールをうまく利用したラスティ・ウォレスが第一セグメントで圧倒的な速さを見せながらも終了直前でスピードダウンし、8位でゴール。当然のように観客がインバートスタートを選択したことによってウォレスは第二セグメントを3位の好順位でスタートし、アーンハートとゴードンが激しい争いをするのを尻目に悠々トップでチェッカーを受けました。

 第一セグメントのスピードダウン、「プレーキが熱くなったのでペースを落とさざるを得なかった」とウォレスは答えていたようですが、それが真実なのかあるいは三味線を弾いたのか、そんなことを細かく詮索するようではアメリカンレースを楽しむ資格なし、ということになりましょうか。




Official


 レースに参加するのはレーシングカーだけではないということで、いつもは裏方に徹しているオフィシャル(競技役員)のパレードが行われました。各コーナーに配置されるフラッグマーシャル(安全監視員)、救急車、レッカー車、消防車、オイル除去作業車など。特にシルバーの消防服に身を包んだ消防員はスタードライバー並の拍手を受けていました。



Earnhardt(jpeg)


 NASCAR最大のスタードライバー、デイル・アーンハート。通算70勝をマークし、7度のタイトル獲得は史上最多タイを誇る。接触をも恐れない攻撃的な走りでインターミデイター(脅迫者)の異名をとる。
 ところが、日本では知名度ほとんどゼロ。今年は鈴鹿サーキットで何回かデモンストレーション走行をしているため、私のように鈴鹿へ何回も通っている者にとってはそこそこ馴染みのある顔ではあるものの、その経歴などはほとんど知られていない。そのため、ひらがなで大きく名前を書いた幟を手にオープンカーでレース前のパレードを行った(パレードは全ドライバーが参加)。
 サングラスをしたゴツいおっさんが、「でいる・あーんはーと」というお茶目な幟を手にした姿は・・・ 



Keiichi Tsuchiya(jpeg)


 こちらは日本レース界のスター、土屋圭市。「ドリキン(=ドリフトキング)」と呼ばれ、レースでは派手なドリフトで観客を楽しませてくれ、ラジオのディスクジョッキーやテレビ、ビデオへの出演などマスコミへ登場する機会も多いマルチタレント。
 デール・アーンハートやジェフ・ゴードンよりも、やっぱり土屋選手への拍手が一番大きかったのはやむを得ないことか。



Formation Lap(jpeg)


 スタート直前のフォーメーション・ラップ。なによりもアメリカンレースだということを感じさせるのがこのスタート進行でした。
 マーシャルカーの先導で各車両がフォーメーションラップに参加します。普通ならこのフォーメーションラップを1周した後でスターティンググリッドに整列し、ランプの合図で一斉にスタート・・・ということになりますが、今回はちょっと違います。なんと、フォーメーションラップの間、場内放送が観客を煽りたて、観客はドライバーに声援を送る、そして、その声援が高まって観客が十分盛り上がったと判断するまで先頭のマーシャルカーは延々とフォーメーションラップを続けるのです。
 結局この日は4周にわたってフォーメーションラップが行われ、やっとスタートになりました。観客も、「これが鈴鹿の観客か」と思うほど派手な声援を送ったのですが、4周はちょっと長かったような・・・



Start(jpeg)


 いよいよスタート。5,700cc、700馬力を誇るアメリカンV8エンジンが27台一斉に咆哮をあげた。NASCARの魅力といえば、やはり一にも二にもこの音からくる迫力にある。
 カラフルなボディカラーも、ミラービール、コダック、ケロッグ、ヘイズモデムなど比較的日常生活に馴染みの深いスポンサーによるところが大きい。



Battle(jpeg)


 真剣勝負のレースであり、各コーナーではサイドバイサイドの白熱した争いが繰り広げられる。時にはそれが高じて接触につながることも。激しい接触もレースの魅力だと言ってしまうところがアメリカンレースであるかもしれない。



 

Nakaya & Tsuchiya(jpeg)


 このレースに参加した日本人選手4人のうち2人。前が中谷明彦、後ろが土屋圭市。中谷はナットが十分に締まっていなかったことを理由にペナルティを課されながらも予選14位を確保。決勝第一セグメントでは10位を走行し、あわや第二セグメントはトップでスタートかと思われたが、なんとガス欠でストップ。第二セグメントを終えた結果は18位となった。
 土屋はテスト中にマシンをクラッシュさせ出場そのものが危ぶまれていたが、今回唯一のオール日本人チームということで他チームからの協力も得てなんとかスターティンググリッドについた。マシンは完調でなかったようだが、第一コーナーの入り口ではマシンの右半分をほとんどコース内側のダートに放り出すほどの激しい走りを見せ、観客からやんやの喝采を浴びていた。最終結果15位は日本人ドライバーの最上位。



Wakita(jpeg)


 エンジン不調に悩まされたという脇田一輝。90年にFJでデビューし、今年は全日本GT選手権に出場しているが、正直、それほど活躍しているとは言い難い28歳のドライバー。来年はアメリカへ渡ってNASCARに挑戦するとも言われているが、残念ながら最初から最後までテールエンドを単独で走行することになった。  もう一人出場した日本人、福山英朗は残念ながら他車との接触が原因でクラッシュに終わってしまった。この人、ごついおじさんなんだけど、身障者の介護ボランティアなんかをしてイイ人なんだけどねぇ。

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