
一日に決勝レースが2回行われるのがJTCCの特徴です。今回(6月8日)は、シリーズ第4節(第1節は雨のため中止)にあたる第7戦、第8戦が行われました。
前日に行われた予選により、第7戦、第8戦ともポールポジションはアコードに乗る黒澤琢弥が獲得しました。しかし、プリメーラに乗る本山哲が両戦とも2番手につけ、同じプリメーラの星野一義がそれぞれ3位、4位に付けるなど、「プリメーラ侮り難し」という印象を与えました。
そして迎えた第7戦、決勝はポールからスタートした黒澤が好ダッシュを見せ、後を本山、星野が追う。しかし、本山は第一コーナーから第二コーナーへ向かう地点で大きくコースアウト。最後尾まで順位を落とし、急遽ピットインしますが、結局ステアリング系統のトラブルということでリタイヤ。早急に修理を行い、続く第8戦への準備に取りかかりました。
その後、トップをひた走る黒澤の背後に星野が迫ります。しかし、前回のレースまで好成績を残してきた星野のマシンには50Kgのウェイトハンデが課せられており、結局これが効いた形で後半はだいふ差を付けられてしまって、星野は2位に終わり、黒澤がトップでチェッカーを受けました。
3位には予選9位から猛烈な追い上げを果たしたエクシブの影山正美が入り、メーカー直系チーム以外のドライバーに贈られるTCCAカップを獲得しました。
| 順位 | ドライバー | マシン |
| 1位 | 黒澤 琢弥 | PIAA SN ACCORD |
| 2位 | 星野 一義 | カルソニック プリメーラ |
| 3位 | 影山 正美 | ADVANエクシブ |
| 順位 | ドライバー | マシン |
| 1位 | 本山 哲 | ザナヴィ・カミノ |
| 2位 | 黒澤 琢弥 | PIAA SN ACCORD |
| 3位 | 影山 正美 | ADVANエクシブ |

第1レース(第7戦)のスタート。黒澤、本山(ともに写真外)に続いて、星野(プリメーラ)、道上(アコード)、飯田(オペル・ベクトラ)、岡田(アコード)、中子(アコード)、影山(エクシブ)らが続く。

先月、富士スピードウェイで行われたフォーミュラ・ニッポン第3戦で優勝を果たすなど今季絶好調の黒澤琢弥。第1レースでは、常に星野一義の姿をバックミラーに映しながら走ることになりました。今シーズン突然フォーミュラからの引退を発表した星野に代わってチーム・インパルのマシンをドライブすることになったのが黒澤であり、彼にとって星野はいわば恩人のようなもの。その星野を抑えて走るのは「複雑な心境だった」とか。
第1レースでは星野を抑えきって優勝を遂げましたが、第2レースでは本山に大きくリードされての2位。ドライバーのシリーズランキングでは本山に8ポイント差をつけてトップに立ってはいるものの、この日のレースを見る限りでは、そのアドバンテージは必ずしも大きいものではないようです。

これまで優勝こそ無かったものの、第3戦から第6戦まで4位、2位、3位、3位と重ねてシリーズランキングトップに立っていた本山哲(もとやま さとし)。プリメーラというマシン自体が優れた性能を持っていることは疑いもない事実ですが、併せてこの本山という選手に速さと確実さが出てきたということを大きく評価しなければならないでしょう。
第2レースでは念願の初勝利を手にすることができましたが、第1レースのトラブルさえなければ、ひょっとすると本山の2連勝という結果に終わったかもしれません。まあ、逆に2戦ともリタイアの可能性だってあったわけですから、「結果がすべて」ということになってしまうんですけどね。

第1レースは予選9位からスタートして徐々に順位を上げ、最終的には3位へ。そして第2レースでは予選6位から一気に3番手へジャンプアップして、その後道上、中子のアコード勢の追撃を必死でかわして3位を死守、と全く対照的なレース運びながらともに表彰台の一角を占めたのがアドバンチームのエースとなった影山正美でした。
第2レース終了後、インタビューで「後ろから道上が何回もぶつけてきたからつい意地になって無理なブロックをしてしまった」と答えていましたが、後の報道などを見ていると後続の選手からは「一周のラップタイムが違いすぎるのに、あまりにもひどいブロックだった。」という声もあがっていたとか。
でも、後ろのドライバーが道上じゃなくてアイルトン・セナや中嶋悟だったら、正美のブロックぐらい簡単に抜き去っていただろうと思うから、この喧嘩はちょっと道上に分が悪いかな?

ホンダから発売予定の新型スポーツカー・・・ではなくて、小さい子供ならみんな知ってるミニ四駆。
今年のゴールデンウィークに鈴鹿サーキットで行われたミニ四駆のイベントで初めてお披露目された、「実際に走る実物大のミニ四駆」ガンブラスターXTOです。今回のレースでは、イベントの間にコース走行を披露していましたが、意外にも野太い排気音を響かせながらそれなりの迫力を漂わせていました。ちなみに、制作費は約1,000万円だそうです。

ピットウォークの最中に、ファンからの求めに応じてサインをする星野一義。先日フォーミュラ・ニッポンからの引退を発表しましたが、JTCCではまだまだ元気な走りを見せてくれています。
前戦の結果に応じてウェイトハンデを課せられるのがこのシリーズの特徴となっていますが、前回の菅生(宮城県)でのレースで2位(ハンデ20Kg)、1位(同30Kg)と好結果を残した星野選手は、第1レースで50Kgというハンデを背負ってスタートすることになるため、レース前は「4位になったらハンデが10Kg減らされるから、今回のレースは2戦とも4位になってチャンピオンシップポイントを稼ぐことを目指す」と言っていましたが、結局レースになればそんなことはおかまいなしの激しい走りで2位を獲得、さらにハンデを規定上限の70Kgまで積み増しされることになりました。
第2レースの前には「アコードが圧倒的に速いと思っていたから、まさか自分が一番最初に70Kgを積むことになるとは思わなかったよ」と苦笑いしつつ、「でも、ハンデが大きいということはそれだけ成績がいいということだから、名誉なことだと思って走るようにするよ。」と語っていました。さすがにこのウェイトは厳しかったようで、前半はアコードの道上を抜き去るほどの激しい走りを見せましたが、後半はタイヤが消耗したのか徐々に速さを失い6位でゴールしました。
このレースが終われば、翌月曜日の朝の便でフランスへ向かい、休む間もなくル・マン24時間レースへとチャレンジすることになっており、「日本一速い男」はとても49歳とは思えないタフさを見せています。

今季、何かがふっきれたような速さを見せている黒澤琢弥。父が元トヨタのワークスドライバー黒澤元治氏であるという環境のもとで育った割には、レースの世界に入ったのが20歳を越えてからという「遅咲き」のドライバー。
今年はチーム(PIAA NAKAJIMA)の方針でフォーミュラには若手を起用するということになり、JTCCに専念する予定でしたが、星野一義の突然の引退宣言により、星野のチームからフォーミュラ・ニッポンに出場することとなり、第3戦で早くも優勝を果たしました。
JTCCではTIサーキットでの第3戦と今回の第7戦で優勝、そのほかのレースでも着実にポイントを挙げ、第7戦でリタイアしてポイントを挙げられなかった本山に代わってシリーズランキングトップに躍り出ました。

ホンダ陣営随一の「ハコ使い」といわれる中子修。今回のレースから待望の新型アコード3Xが実戦投入されましたが、「どうもコーナリングの感じが良くない」と納得が行かない様子。
インタビュアーの「熟成が進んでセッティングが決まってくると速くなるんじゃないですか?」という問いかけにも、「クルマの善し悪しは最初の第一印象で決まるから、それでいい感じがなかったらどんなにいじっても根本的に良くなることはない」と辛辣な答え。
そのもやもやを表すかのように、第7戦4位、第8戦5位と、中子にとってはかなり不満の残る結果となりました。職人には、やはり職人の技に応えられる道具が必要ということでしょうか。

昨年JACCSカラーのマシンを走らせていた服部尚貴がアメリカへ渡ってインディカーレースへの挑戦を行うことになったので、代わってこのマシンを託されたのが道上龍(みちがみ りょう)です。
1973年生まれの24歳で、FJ1600、F3と順調にステップアップしてきましたが、今年はホンダの準ワークスとも言える体制で、「違いがわかる男」由良拓也率いるムーンクラフトチームからJTCCに参戦しています。
個人的には、FJ1600時代から注目していた選手で、ゆくゆくは高木虎之介とともに日本レース界に「龍・虎」の時代を築いて欲しいと思っているのですが、道上選手がトップフォーミュラへ上り詰めるためにはもう少し試練が必要のようです。
今回のレースでも、「速さ」はあるものの、追い抜きをはじめとするレースの駆け引きなどの面ではもう少し「うまさ」を身につけることが必要であるように思われました。

一時は、フォーミュラ、ツーリングカー、耐久と国内のあらゆるカテゴリーで大活躍をしていた「ウルトラ秀樹」こと岡田秀樹選手。
「昔は暴走族だった」と語っていましたが、レースに出場するための資金を稼ぐためにイスラエルまで出稼ぎに行ったというエピソードが物語るように意外と苦労人です(結局、出稼ぎ中にレースを戦うための費用が高騰してしまって手持ちの資金では参戦できないと判ると、そのほとんどが飲み代で消えてしまったという後日談もあるようですが(^^;)。
黒澤、中子、道上に続く第4のアコードを駆るが、若干マシンの能力に差があるようで、「どうも最終コーナーがしっくり来ない」と言う道上に、「お前は何も判っていない。それでも他のマシンでは追いつけないんだから、贅沢を言うもんじゃない」と、半分笑いながら、半分マジで言っていました。

各チームが、それぞれのメーカーの威信を懸けた最新鋭のマシンを走らせている中にあって、ただ一人カローラを走らせているのがこの人、松永雅博。オーバーフェンダーと大きなウィングを装着し、派手なオレンジのカラーに身をつつんだカローラは、「これこそツーリングカーレース」と思わせます。とはいえ、アコード、エクシブといった各社の代表車種と比べるとカローラは圧倒的に「大衆車」の雰囲気を漂わせています。このマシンがエクシブと並走しているところを見ると、つい「がんばれ、カローラ」と思ってしまうのは私だけではないはずです。
ちなみに、この松永選手の奥さんは、「日本一速い女性タレント」の三原じゅん子さんなのです。