FIA GT Championship Rd.6 Suzuka

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1998 FIA GT選手権シリーズ第6戦

SUZUKA 1000Kmレース



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 今年も鈴鹿1000Kmの季節がやってきました。真夏の終わりに開催されるこのレースは既に30年以上の歴史を有していますが、去年からはFIA-GT選手権の一環として開催されるようになり、世界の強豪を間近に見られる貴重なイベントとなりました。
 その反面、トヨタやニッサンなどの国内ワークスチームが参加を見合わせるようになり、また「参加することに意義がある」と考えて一年に一度のお祭りとして参加するプライベートチームが大幅に減少したのは寂しいことでもあります。
 昨年は、メルセデスが圧倒的な強さをみせて1−2フィニッシュを決めましたが、今回はワークスのほかに、チーム・パーソン・モータースポーツからも昨年型のメルセデスが2台エントリーしており、今年も万全の姿勢で臨んでいます。
 唯一メルセデスに対抗できる可能性をもっているのが耐久レースの雄、ポルシェです。FIA-GT選手権では、鈴鹿を除く全てのレースが500Kmの距離で争われるのに対して、今回は倍の1,000Kmレースということで、耐久性を武器になんとかメルセデスの牙城に迫りたいところです。

 ところが、いざレースが始まってしまうと、メルセデスは速い、速い。前半ポルシェもなんとかついていきますが、結局最後までゼッケン1のAMGメルセデスは一度もトップを譲ることなく、淡々とゴールまでノートラブルで走りきりました。さらに、2位もAMGメルセデス、3位にはレース終盤で辛うじてゼッケン11のパーソン・メルセデスをかわしたポルシェAGがはいりました。

 期待の日本勢はというと、2週目に土屋圭市が駆るIDCサード・スープラがコースアウト、長時間ピットに張り付きっばなしになり、コース復帰は果たしたものの順位を大幅に落としたほか、チーム国光のレイブリックNSXも最初のピットイン直前にエンジンブローでリタイヤするなど散々な成績でした。
 実は、NSXがリタイヤした後、いつもの「お昼寝モード」に入ってしまったので、レース経過はあんまり追ってなかったりするのです(^^ゞ。だから、今回は、トピックを中心にレポートさせていただきます。



SUZUKA 1000Kmレース 決勝結果

順位No.ドライバーチームマシン
1位 1ベルント・シュナイダーAMGメルセデスメルセデスCLK LM
マーク・ウェーバー
2位 2クラウス・ルードヴィッヒAMGメルセデスメルセデスCLK LM
リカルド・ゾンタ
3位 7ヤニック・ダルマスポルシェAGポルシェ 911 GT1 98
アラン・マクニシュ
ステファン・オルテリ




Mercedes(jpeg)

 圧倒的な速さと安定性を見せつけて一度もトップを譲る事なく優勝したゼッケン1のメルセデスCLK LM。 その名のもとになったであろうと思われるル・マン24時間レースでは早々に2台がリタイヤし、思わぬ脆さを見せたメルセデスですが、FIA GT選手権ではこれまで5戦5勝。鈴鹿が終わってみれば開幕以来負け知らずの6連勝という憎たらしいまでの強さでした。
 今回のレースは、メルセデスのディーラーから招待を受けたお客さんが多かったようで、場内のあちこちでメルセデスの旗が振られていましたが、こうしたお客さんにとっては十分満足のできるレースだったのではないでしょうか。とはいえ、一番喜んでいるのはディーラーの方々なんでしょうが・・・。でも、たしかに普通の人からみれば、あのオッサングルマの「ベンツ」がポルシェよりも速いスポーツカーだったなんて、驚くよりほかに無いことなんでしょうねぇ。




team persson(jpeg)

 昨年型のメルセデスCLK-GTRを走らせるチーム・パーソン。ゼッケン12は7位、もう一台のゼッケン11は4位でフィニッシュしました。
 しかし、昨年この鈴鹿でCLK-GTRを見たときは「純粋なレーシングカーとして作られたこんな怪物マシンを市販GTと呼んじゃマズイんじゃないかい?」と思ったものですが、今年のCLK-LMを見てしまった後ではなんだか普通の乗用車に随分近いように思ってしまうのは私の感覚がおかしくなってしまったのでしょうか(^。^)
 上の写真と見比べて見て下さい。どうですか、あなたにもそう思えませんか?




Porsche(jpeg)

 メルセデスに追い立てられて、タイヤスモークを上げるほどの急ブレーキでヘアピンをクリアしていくゼッケン7のポルシェ。
 ポルシェといえば耐久レースの代名詞でもあると言えるほどレースを知り尽くしたチームですが、ここのところメルセデスには苦汁を飲まされ続けています。残る4戦でポルシェの逆襲はなるのでしょうか。がんばれ、ポルシェ。




Marcos(jpeg)

 夕闇が迫る中、チェッカーを受けたマシンがウィニングランを終え、スタンド前のコースサイドにまで降りてきた観客の前を通り抜ける。
 派手なカラーリングで一番目立っていたゼッケン70マーコスLM600は、オランダ人のコル・オイサー率いるマーコスレーシングチームのマシン。場内放送の与太話によれば、GT2クラスのポール・ポジションを獲得したものの、記者会見に現れた姿を見てもメカニックに見間違えられるぐらい「ただのおじさん」にしか見えなかったと言われるほど素朴でアマチュアリズムにあふれたチームですが、決勝でも2台のバイパーに次いで10位、GT2クラス3位でフィニッシュ。きちんと結果を残すところが立派です。




podium(jpeg)

 総合優勝の表彰台に上ったのは、1メルセデスのベルント・シュナイダーとマーク・ウェーバー。シュナイダーはF1のザクスピードチームで鈴木亜久里のチームメイトであったことから日本人でも知っている人は多いんですが、マーク・ウェーバーは多分本邦初登場でしょう。8月27日で22歳になるという若いドライバーですが、シュナイダーによれば「きっとF1に上っていく才能溢れるドライバーだ」ということですから、今からチェックしておく価値はあるかもしれません。
 なにしろ、メルセデスの耐久チームといえば、その昔「世界スポーツカー選手権(WSC)」に出場していたメルセデス・ジュニア・チームに、ミハエル・シューマッハ、ハインツ・ハラルド・フレンツェン、カール・ベンドリンガーの3人が同時に在籍していたくらいですから、才能の宝庫であることは間違いないでしょう。





Today's Topics




R390GT1(jpeg)

 実は、今回鈴鹿へ行ったのは、このマシン(と次のトヨタのマシン)を見るというのが大きな目的の一つでした。
 このマシンは、今年のル・マン24時間レースで星野一義、鈴木亜久里、影山正彦の3人が乗って3位入賞を果たしたマシンです。普通はオーバーホールなどの作業を済ませて綺麗にしてから展示されることが多いのですが、このマシンはどうやらル・マンを走りきったそのままの姿で展示されていたようです。フロントカウルの無数の傷が、激戦のル・マンを物語っていました。




TS020(jpeg)

 今年のル・マンでラスト1時間半までトップを快走し、突然のトラブルでリタイアに追い込まれたものの、驚異的なスピードにライバル達が震撼したトヨタの必殺ウェポン、トヨタTS020。
 一応、「GTカー」というカテゴリーに入っているからには、このマシンにはちゃんと市販バージョンがあって、ナンバーのついた車両が存在しているんですが、いくらなんでも、このマシンにナンバーつけて街中を走らせるっていうのはそもそも無茶な話のような気が…………(^^ゞ




Joeff Lees(jpeg)

 耐久レースでは、しばしば懐かしい顔に会えるというのが楽しみの一つです。
 今年、ピットウォークで会ったのは、ジェフ・リース(ダビドフ・マクラーレン)でした。81年ヨーロッパF2チャンピオン(多分マーチ・ホンダ・ブリヂストンという組み合わせだったはず)、83年全日本F2チャンピオン、88年・89年全日本GCシリーズチャンピオンと輝かしい成績を残しながら、F1へステップアップするチャンスを逃してしまった悲運のドライバーというイメージが強いのですが、次々と訪れるファンにサインを書き続けている横顔を見ていると、すっかりいい「おじさん」になってしまったなあと思ってしまいました。
 確かに、1951年生まれの47歳。「おじさん」といわれても仕方ないんでしょうね。レースでは残念ながら106周でリタイヤになってしまいましたが、今後ともずっと現役を続けてほしいドライバーです。




Hideshi Matsuda(jpeg)

 最近はすっかり「ビートたけしの義弟」という紹介もされなくなってしまった松田秀士。日本のレース界がずっとヨーロッパ指向を続けているなかで、インディカーレース(最近は、チャンプカーとかCARTとか言うんですが)などアメリカンレースにもチャレンジを続けているドライバーです。
 今回もヴァイパー・オレカ・チームからカール・ヴェンドリンガー、ジャスティン・ベルというトップドライバーとともにクライスラー・ヴァイパーGTS-Rを走らせましたが、結果は10位で、GT2クラス2位の座を獲得。見事に表彰台に上りました。




Hideo Fukuyama(jpeg)

 顔だけ見てればかなりヤバそうな(^^ゞ不良中年に見えてしまうのが、「白子の星」福山英朗。78年FL500を皮切りに、全日本F3、ルマン24時間、JSPC(全日本スポーツプロトタイプ選手権)、全日本F3000などトップクラスのレースへの出場経験を持つベテランですが、最近は、「NASCARサンダースペシャル鈴鹿」でストックカーレースにもチャレンジしていることでも注目されています。
 また、「鈴鹿サーキット・レーシングエクスペリエンス」という一般の観客を対象にしたレース体験プログラムのドライバーを勤め、レースファンの底辺拡大にも一役買っています。
 福山選手がドライブしたチーム・ダイシン・シルビア(N-GTクラス)は、同じクラスのNSXやスープラ、ポルシェといったライバルがトラブルで順位を落とす中、ほとんどノートラブルで走りきり、見事に総合18位、クラス優勝を果たしました。表彰台のインタビューで「これだけ多くのファンが最後まで応援してくれて、日本のレース熱はまだまだ冷めていないことが判った」と答えるなど、実は、この人すごく思いやりのあるいい人なんですよ。