'99 Formula Nippon Round 5 Suzuka Circuit
フォーミュラ・ニッポン第5戦 鈴鹿サーキット
ミリオンカードカップレース
星野レーシング大躍進!! 影山正美 歓喜の優勝
7月4日と言えば梅雨のまっただ中。豪雨の中で開催された4月の開幕戦に続き、今回のレースも雨中の開催かと思われていましたが、土曜日の予選こそ雨に祟られたものの、決勝当日は朝から夏の日差しが降り注ぐさわやかな天候に恵まれました。
ここまで、第1戦鈴鹿サーキット:本山哲(アンリミテッド・ルマン)、第2戦ツインリンクもてぎ:光貞秀俊(PIAAナカジマ)、第3戦CP美祢:本山哲、第4戦富士スピードウェイ:トム・コロネル(PIAAナカジマ)、という結果に表されているように、今年のフォーミュラ・ニッポンは中嶋悟氏が率いるチーム・ナカジマと、本間監督率いるチーム・ルマンのマッチレースの様相を呈していました。
そこへ突如割り込んできたのが「日本一速い男」こと星野一義氏が率いる星野レーシングチームです。前回のレースまでローラ社製のシャーシを使用していた同チームですが、今シーズンはレイナード社製のシャシーとの性能差が著しく、ローラを使う限り上位進出はほとんど絶望的であるとまで言われる状態であったため、今回のレースからレイナード製のマシンにスイッチしてきました。
蓋を開けてみるとその差は歴然。これまでの4レースでは第3戦ツインリンクもてぎでの影山の6位が最高位と、チームの実績を考えると「悲惨」とさえ言えるほどの低迷に喘いでいたにもかかわらず、今回の予選では、いきなり影山正美が2位と最前列をゲット。チームメイトの野田英樹も7位と「大復活」をアピールしました。
決勝レースでもこの勢いは衰えず、ポールポジションからスタートした本山哲が1週目で黒澤琢弥と接触し順位を落とした間隙をぬって、影山正美が首位を奪取。トム・コロネルが必死の追走を見せましたが、トム自身のミスもあり結果的には正美が余裕の優勝を果たしました。
また、野田英樹も最終ラップまで3位の座をキープし、「星野レーシングは、初マシンのレースでいきなり1位と3位を獲得か」と思われましたが、最終ラップのシケインで光貞秀俊と接触、両者ともレースには復帰したものの、黒澤琢弥、田中哲也に抜かれて無念の5位ゴールとなりました。
(詳細なレースレポートが掲載されているフォーミュラ・ニッポンの公式ホームページはこちらです)
フォーミュラ・ニッポン 第5戦 鈴鹿サーキット
| 順位 | ドライバー | チーム | マシン |
| 1位 | 影山 正美 | BE BRIDES IMPUL | Reynard 99L/無限MF308 |
| 2位 | トム・コロネル | PIAA NAKAJIMA | Reynard 99L/無限MF308 |
| 3位 | 黒澤 琢弥 | TEAM TMS | Reynard 99L/無限MF308 |

ポールポジションからスタートしたのは本山哲。影山は「フライングをしないように注意しすぎて、スタートを失敗してしまった」とレース後に語っていましたが、これに対して本山のスタートダッシュは最高でした。
第一コーナーまでの間に後続のマシンを引き離し、あっという間にトップの座を固めます。しかし、この後、予選5位からジャンプアップしてきた黒澤琢弥に追走を許し、1周目のシケインで両者が接触。2台とも再スタートはできたもの、結局本山はマシントラブルが発生したらしく3周目のシケインでスピン、リタイヤという結果になりました。
自他共に優勝候補の筆頭と思われてきた本山の脱落によって、レースの展開が判らなくなってきました。

トム・コロネルの追走を振り切り、昨年の最終戦に続いて鈴鹿サーキット2回目の優勝を飾った影山正美。
レース序盤ではトムに1周あたり0.5秒前後ずつ差を縮められてきましたが、中盤からはトムを上回るラップタイムを連発して逆に徐々に差を広げ、25周目にトムが自らのミスでスピンを喫したことによって、首位の座を確実に手中にしました。
レース後の記者会見で「高いお金を払ってレイナードを用意してくれた星野レーシングに感謝したい」と言っていましたが、影山にとっては、戦闘力のあるマシンを購入するために、チームが一台数千万円というマシンの買い換えを決断したことが相当なプレッシャーとなっていたようです。
それにしても、そのプレッシャーを受けながら、新マシンの最初のレースで見事に優勝を飾るというのはなかなかできることではありません。星野監督がレース後に「ドライバーが頑張ったよね」と涙ぐみながら語っていたのは、影山に対する最大級の賛辞であったと言えるでしょう。

表彰台のシャンパン・ファイト。2位は、このレースで6ポイントを獲得し、チャンピオンシップポイントで本山哲に並んだトム・コロネル(PIAA NAKAJIMA)でした。「完調の本山と勝負したかった」と語ったトムですが、1周目ではピーター・ダンブレック(チーム・レイジュン)と接触、25周目にスピン、最終ラップではマシンが一旦完全にストップしながらもかろうじてエンジンを再始動、とトラブルを乗り越えての2位入賞は本人にとってもまあ満足できる結果だったと言えるでしょう。
3位に入ったのは本山との接触で順位を落としたにもかかわらず、攻撃的な走りで順位を回復した黒澤琢弥(TEAM TMS)です。最終ラップまで5位を走行していましたが、前を行く野田英樹(BE BRIDES IMPUL)と光貞秀俊(PIAA NAKAJIMA)の接触に乗じて順位を上げ、結果的に表彰台を獲得しました。
シャンパン・ファイトをする黒澤選手の足下には、同チームで走ることが決定していながらテスト走行中の事故で命を落とした舘信吾選手の遺影が置かれていました。個人的には、肝心なところで接触したりクラッシュすることが多いように思われる黒澤選手はそれほど好きなドライバーではないのですが、これにはちょっと感動しました
Drivers, Drivers and Others

影山正美とともに今季星野レーシングに迎えられた野田英樹。英国F3、米国インディ・ライツと国内よりもむしろ海外での参戦経験が豊かな同選手ですが、昨年、10年振りに国内レースに復帰しました。
残念ながら昨年は、時として強烈な速さをみせるものの、結果的にはトラブルやクラッシュのためにリタイヤすることが多く、なかなか結果を残すことができませんでした。
今年は、開幕からローラ社製のマシンの絶望的な遅さに悩まされ、第3戦の13位が最高という惨憺たる成績でしたが、新しくレイナード製マシンを与えられた今回のレースでは、最終ラップまで光貞秀俊の激しいアタックを防ぎきり、3位の座を守り続けました。残念ながら最終コーナー手前のシケインで光貞と接触し、大きく後退しましたが、それでも5位でのフィニッシュはもちろん今期最高の成績です。
実は、野田選手にはもうちょっと日本人離れした大活躍を期待しているのですが、それは新型マシンの調整が進む次戦以降のお楽しみということにしておきましょうか。

開幕戦の鈴鹿に出場したものの、その後出場機会のなかった田中哲也(5ZIGEN)。開幕戦でも予選8位(決勝リタイヤ)と周囲の目を見張らせる活躍を見せましたが、今回のレースでも予選11位、決勝4位と素晴らしい成績を残しました。
レース中のFM放送による実況中継でも、「チーム体制やマシン性能から予測される成績を常に上回る成績を残すドライバー」であると大絶賛を受けていました。今シーズンのレース活動予定は未定ということでしたが、どうやら今回の活躍でチーム・5ZIGENのレギュラーシートを獲得したのではないかという噂が流れ始めたようです。
本当に経験もあり、能力もあるドライバーなんですが、ちょっとレースシーンでは「玄人受け」の側面ばかりが目立ち、地味な存在になってしまっているのが残念なところです。

21歳で国内最高峰のフォーミュラ・レース(当時はF3000)にデビューした期待の若手ドライバー金石勝智も、その後10年の歳月を経て今や30歳。若手というよりもむしろ中堅〜ベテランと呼ばれる年齢となってきました。
才能はあると思うんですが、これまで優勝がわずか2回とどうしても結果に結びつかないのがもどかしいところです。
今年も昨年に引き続きARTA(オートバックス・レーシング・チーム・亜久里)からの参戦ですが、チームが選択したマシンは結果的に最悪の選択となってしまったローラ社製。「とりあえず、ローラの中ではトップを取る。そして、1台でもレイナードを食ってやる。」と語っていた金石ですが、レースではその言葉のとおり、立川祐路(コスモオイル・レーシングチーム・セルモ)や黒澤琢弥などのレイナード勢を抑えて6位を守り続けました。結果的にはスピンしてリタイヤとなったものの、「ローラ勢の意地」を見事に見せてくれたレースとなりました。
ARTAでは次戦からレイナード社製のマシンを導入する予定になっていますが、果たして今回の星野レーシングのように「新型マシン投入、即優勝」という結果を見せることができるでしょうか。

金石と同じくローラ社製のマシンに乗る道上龍(スピードマスター・ムーンクラフト)。
同チームは、今シーズン一杯ローラ社製のマシンを使い続ける予定で、インタビューを受ける道上選手の表情も曇りがちのように見受けられました。ただ、次回からはチーム監督の「違いがわかる男(古いか)」由良拓也氏が全力を尽くして開発した新型空力パーツが完成し、マシンが一新される予定ですので、これがどれだけの効果を発揮するかということだけが、現在の道上選手の唯一の希望の光であると言えるでしょう。
今回のレースではスタート前のウォーミングアップで道上選手のマシンがトラブルを起こてしまいました。激しくオイルを吹き上げながらピットに帰ってきた同選手はそのままリタイヤ。結局、スタートにも参加できないという散々な結果に終わりました。
昔から道上君には随分期待をしているんですが、どうも結果に結びつきませんね。本当は、F1の世界で高木虎之介と「龍虎の戦い」を繰り広げてほしいと思っているんですが、その日はなかなか訪れそうにありません。

「あれっ、なんかヘン?」と思ったアナタは正しい(^_^)
サーキットに登場したのは、本邦初の「2人乗りフォーミュラマシン」です。昨年型のフォーミュラ・ニッポンマシンを改造して「客席」を設けたもので、レースごとに観客の中から抽選で選ばれた2人が300Kmオーバーの世界を体験できます。
今回は特別ゲストとして元スキー・アルペン複合の荻原次晴選手がこの同乗走行を体験していました。複合ジャンプ競技で100m以上もの距離を飛ぶこともある荻原選手ですが、フォーミュラ・マシンのスピードとコーナリングには相当驚いたようで、体験走行終了後は「自動車があんなスピードで走れて、曲がれるものだとは思わなかった。すごいよ。」と何度も繰り返していました。
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