'99 Suzuka GT 300Km
AUTOBACS CUP 全日本GT選手権シリーズ第1戦
1999 SUZUKA GT 300Km
雨中の大激戦を制したのはNSX
桜前線の便りも聞こえて来るというのに、時ならぬ寒波の来襲に日本列島が震え上がったお彼岸の週末、いよいよ日本のレースシーズンも幕開けを迎えました。
2週間前に、期待の新星であった舘信吾選手をテスト中の事故で失うという悲しいニュースが突然飛び込んできて、我々レースファンは大きな驚きとともに深い悲しみを受けることとなりましたが、それでも戦いは休むことなく続けられています。この悲しみを乗り越えて我々が更に日本のレース界を盛り立てていくことこそが舘選手、そして日本レース界の立役者の一人であり舘選手の父でもある舘信秀氏(株式会社トムス会長)の意志に沿ったものであるに違いないと私は考えています。
さて、悲しみの中で迎えた第一戦。昨年は速さでは圧倒的なNSX勢がトラブルに泣き、結果的にチャンピオンはスカイラインGTRの頭上に輝いたのですが、今年は雪辱を期すNSXが十分な信頼性を身に付け、打倒GTRに燃えてます。さらに、2003年からF1へ進出することを発表したトヨタが、元F1ドライバーの片山右京をドライバーに迎え、スープラの戦闘力を格段にアップさせて虎視眈々とチャンピオンを狙っています。この3大メーカーの激突がなんといっても今シーズンのGT選手権の大きな魅力となりました。
決勝当日は朝から雨が降ったりやんだりの天候で、GTクラスの決勝が始まった頃には本降りの雨となってしまいました。すべりやすくなった路面の影響で、レースは序盤からコースアウトする車が続出し、波乱の幕開けとなりました。しかし、観客としてはそのお陰で最初から最後までスリリングな展開を楽しむことができ、約2時間のレース中、本当に退屈しない面白いレースを見ることができました。雨のお陰でマシンの性能差が出なかったということかもしれませんが、今回のレースを見ている限り、今年のGTレースはかなり面白いものになりそうですよ。
(レースレポートが掲載されている全日本GT選手権のホームページはこちらです。)
鈴鹿GT300Km レース結果
| 順位 | ドライバー | チーム | マシン |
| 1位 | 脇阪 寿一 、金石 勝智 | 童夢×無限プロジェクト | TAKATA童夢NSX |
| 2位 | エリック・コマス、 本山 哲 | NISMO | ペンズオイル・ニスモGTR
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| 3位 | 鈴木 利男 、片山 右京 | トヨタ・カストロール・チーム・トムス
| カストロール・トムス・スープラ |

予選トップタイムを記録し、ポールポジションを獲得したTAKATA童夢NSX(脇坂/金石)ですが、トップでスタートしたものの、序盤でコースアウトを喫して順位を落とします。
しかし、そこから脇坂寿一が渾身の走りを見せてスカイライン勢2台を相次いで抜き返し、24周目に再びトップに返り咲きました。その直後にドライバー交代を受けた金石勝智が着実にラップを刻んで順位を守りきり優勝を果たし、昨年の最終戦で、トップでチェッカーを受けながらレース後の再車検で失格となってしまった無念を晴らす結果となりました。

昨年のチャンピオンマシンであるペンズオイル・ニスモ・GTR。昨年に引き続いてこのマシンをドライブするエリック・コマスと昨年のフォーミュラ・ニッポン・チャンピオンである本山哲がコンビを組みます。
前半、TAKATA童夢NSXのミスにも助けられて一時トップを走るものの、レース中のラップタイムはわずかに及ばず、結局2位の座に甘んじることとなりました。正直、本山君がもうちょっとパフォーマンスを見せてくれるかと思ったのですが、見ている方としては若干フラストレーションのたまる結果となりました。

「意外」と言っては失礼か。このレースでこれまでにない速さを見せたのがトヨタ・スープラ。
今年はトヨタが本気を出してマシン開発をしたということで、外見はそれほど変化はないものの、中身は昨年とは全く別物であると言われています。ドライバーも片山右京を迎えて、今年のトヨタはやる気満々です。
結果的に優勝には手が届かなかったものの、カストロール・チーム・トムスの2台ともほぼノートラブルで完走し3位と4位を占めるという上々の結果となりました。問題は今後のレースで、ドライ路面での速さがどうか、ということになるでしょうか。それとも「ここぞ」という時の一発の速さは、右京の集中力でなんとかカバーしようという戦略なのでしょうか(^^;
全日本フォーミュラ3選手権シリーズ第1戦 Formula 3
GT選手権レースと同時に、全日本F3選手権も開幕しました。
昨年は、ピーター、ダンブレックが10戦8勝という圧到的な強さをみせ、その余勢を駆ってF3世界一決定戦とも言うべきマカオ・グランプリまで制覇してしまいましたが、今年はそのダンブレックがフォーミュラ・ニッポンにステップアップしたため、全く新たな形でチャンピオン争いが展開されることになりました。
の日の開幕戟では、有力なチャンピオン候補の一人であるダーレン・マニングが予選でぺナルティを受け、14番手に沈むという波乱からスタートしましたが、終わってみれば、繰り上げでポールポジションを獲得した荒聖治(あら せいじ)がトップを一度も譲ることなく見事なポール・トゥ・フィニッシュを決めました。
全日本F3選手権第1戦 レース結果
| 順位 | ドライバー | チーム | マシン |
| 1位 | 荒 聖治 | TOM'S F399 | ダラーラF399 3S-GE |
| 2位 | ワグナー・エブラヒム | 戸田無限ホンダF399 | ダラーラF399 MF204B |
| 3位 | 金石 年弘 | ARTA 399 無限 | ダラーラF399 MF204B |

優勝した荒選手(前のマシン)。F3のキャリアは昨年のシーズン途中からですが、「世界最強」とさえ言われるトムスチームのワークスドライバーとして迎えられたのですから只者であるはずがありません。1995年以来、開幕戦を制したドライバーガ必ずチャンピオンを獲得しているのですが、果たしてそのジンクスは今年も生きているのでしょうか?

荒選手に次ぐ2位表彰台を獲得したのは、 ワグナー・エブラヒム選手(ブラジル)です。昨年、イギリスでフォーミュラ・ボグゾールというレースに参戦していたらしいのですが、詳しい情報は日本に伝わっておらず、場内放送ではしきりに「謎の外国人ドライバー(謎の覆面レーサーじゃあるまいし(^^;)」を連発していました。
鈴鹿サーキットでの初レースであるのみならず、F3すら初ドライブであるにも関わらず、なみいる強豪を押しのけて2位表彰台を獲得したことは輝かしい才能を予感させるものです。さて、故アイルトン・セナの再来となるのでしょうか?

3位表彰台を獲得したのは金石年弘(オレンジのマシン)。今回GTレースで優勝した金石勝智の甥であり、SRS−F(鈴鹿サーキット・レーシングスクール・フォーミュラ)の卒業生であるというレース界のサラブレッドです。
予選は10位とふるわなかった金石ですが、決勝では最速ラップタイム連発で順位を上げました。レース終盤には、予選トップタイムをマークしながら黄旗追い越しのペナルティで14位に降着されたダーレン・マニング(白のマシン)が鬼気迫る追い上げを見せたため、表彰台の座を巡って金石・マニングの激しいバトルが展開されました。
アウトから最速ラインを狙う金石、インから猛烈な突っ込みを見せるマニングと、2人のバトルは5周にわたって続けられましたが、金石がなんとか押さえきって表彰台の一角を手に入れました。この2人のバトルだけでも今日のレースを見に来た値打ちがあったというものです。
Today's Photogenics