生石高原の一日
A day of OISHI HIGHLAND
生石(おいし)高原は、和歌山県の北部にあり、長峰山脈の一部をなす生石山(おいしやま:標高870メートル)の山頂付近に広がるゆるやかなスロープ状の草原です。この一帯には関西随一とも言われるすすきの原があり、夏から晩秋にかけてのすすきの穂波は広く関西一円からの観光客を魅きつけています。
また、周囲には別荘地も開発されており、高原の景観とも併せて「関西の軽井沢」と呼ばれています。
標高870mの山頂に立つと、雲海からの夜明けを見ることができる。
わき上がる雲を朱に染めながら力強く現れる太陽は、古代の人々が神と崇めた姿を彷彿とさせる。
生石高原がその魅力を最大に輝かせるのは、山頂をすすきが埋め尽くす秋の頃(8月下旬〜10月下旬)である。
綿帽子のような白く乾いたすすきの穂も美しいが、私は穂が出たばかりのすすきが陽光に照らされて銀色に輝く景色が最も好きだ。
生石高原からは、眼下に野上町、遠く和歌山市、そして紀泉の山々を越えて大阪湾、さらには、空気が澄んでさえいれば神戸の街並み、六甲の山並みが遠望できる。ちょっとした双眼鏡があれば、明石海峡大橋の橋脚も見えるという。
「なぜ山上にこんな施設が?」と聞くなかれ(笑)。
大自然の中で子供たちにのびのびと遊んでもらおうと、地元の野上町が設置した木製遊具である。
一応の使い方はあるのだけれど、子供たちにとってはルールなんか関係なし。大人も遊びたいけど、ちょっと人目が気になる・・・。
生石高原から見る空は、広く、そして青い。
その空が見る間に赤みを増し、鳥たちがねぐらを探して飛び立ち始めると、高原は夕暮れを迎える。
月見の夜は、生石高原がまた一歩空に近づく時。
天上に月、眼下に和歌山市から紀の川沿いに広がる家々の灯りを見て、人々は何を思うのか。