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まぐろを巡る冒険



表題: 【まぐろを巡る冒険】182

 ▼海の向こうで戦争が始まる
 
 店の閉店時間まで僕達は居座った。
 勘定は僕が持つっと言ったのだが,まぐろ男は ガンとして
 俺が払うといって聞かなかった。
 
 「じゃぁ,がんばんなよっ」
 そう言い残すと,まぐろ男は「背鰭」を震わせながら大股で
 歩き去って行った。まったく酔った様子は無い
 
 やれやれ。そう口にした途端に僕は気分が悪く為った。
 やれやれ,呑み過ぎたようだ。ぶち寒いが タクシーは
 使わずに歩いて ホテルに戻る事にしよう。
 
 繁華街を進み,二つ目の角を曲がったトコロに 24時間営業の
 映画館があった。
 
 「電車の中で イカせて ♪ 濡れる終電車」

 そんな ポルノ映画を演っている,アルコールと 精液の匂いが
 漂って来そうな,小汚い映画館だ。
 
                       やれやれ

 僕は吸い寄せられるように,自動券売機の方に向かった
 
 ▼23:11
 
 場内は想像どおりに,アルコールと精液の匂いに満ちていた。
 しかし,驚いた事に座席の 1/3 近くは埋まっていた。
 客層は様々だが意外と カップルが目立つ。
 多くは中年の夫婦(?)なのだが,20代と思われる 女性も
 いた,男の方は僕と変わらないようだが・・・羨ましぃ
 
 「チミぃ,ここぉ。あいちょるよぉ」
 
 通路の一番後ろに立っていた僕に声を掛けたのは,最後列に
 座っていた 眼鏡に口髭の紳士だった。
 驚いた事に白衣を着ている。医者なのか?
 見た目は品格のある紳士なのだが,こうゆうのが一番
 危ない。僕は曖昧に微笑んで,遠ざかる事にした。
 
 左の壁際に進み,非常口近くの席に座った。
 トイレに近い ポジションを確保するのは習慣だ。
 映画の内容はまったく陳腐なモノだ。こんな映画なら
 僕にでも撮れる。僕はその時の「声」だけを楽しむ事にした。
 
 目を閉じて「声」を聞いてると意外と悪く無いものだ。
 こんな映画であっても。
 意外な事に......僕は簡単に勃起してしまった。

                          −第18升前編−    完
                          
                          mailto:YHG01030@niftyserve.or.jp
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                kishi / Tetsuji Kishimoto   kishi06@IBM.NET

    
    
    

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