表題: 【まぐろを巡る冒険】181
▼壊れた液晶パネル
「まさか君の方から誘ってくれるとは,思わなかった」
「なにっ,あんたが独りぼっちになって落ち込んでいるの
じゃ無いかってね」
「慰めてくれるって訳かい?」
「まぁそんなトコロ」
僕達は 帯広の繁華街にある,居酒屋で鍋をつつきながら
酒を呑んでいた。
まぐろ男から電話が有った時,僕は ホテルの部屋で
Libretto 110 を前に茫然としていた。
僕の愛機である Libretto 110 が壊れた。
液晶の上半分が真っ白になり,下もぶれて良く見えない。
金子 亜矢 ちゃん に おメールを書いてる最中だった。
くそぉ,今年のお年玉年賀葉書の一等賞が Libretto 120
だったのだが,かすりもしない。僕は昔からあの手のモノ
には縁が無い。
まぐろ男が料理を食ったり,酒を呑んだりする(巧みに)
様を見ながら,僕は彼女の事を考えていた。
「彼女は俺が消したのさ」
「悪く思わないでくれ」
まぐろ男は,マグロ山かけをすすりながら(器用に)そう言った。
「あぁ。君には君の『君達の』ルールがあるんだろう」
「そういう事だ」
まぐろ男は結構,酒が強い。
もう 2時間以上も飲み食いしているのだが,まったく
酔っ払った様子は無い。僕の方が先に参っちまいそうだ。
「彼女の事は忘れて,例のご友人を探す事だな」
僕は酔いの所為か意地の悪い質問をしてみたくなった。
「なぜ君は まぐろ男 になったんだいっ?」
「笑わないでくれよっ(笑)」
まぐろ男は間髪入れずに答えた
「戦争が恐いんだ」
「戦争ぅ? どこの話しだぁ」
「海の向こうで戦争が始まる」
「・・・」
「恥ずかしいけど,恐いんだ」
−第18升序文− 完
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kishi / Tetsuji Kishimoto kishi06@IBM.NET
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