【 第3回  広域医療情報研究会 】
日時:平成10年9月27日(日)午前10時〜午後4時
場所:大阪 NTT中央支店OCB
      大阪市中央区博労町2-5-15

プログラム
1. 開会挨拶  代表世話人  高橋 徳
2. 参加者全員自己紹介 参加者一覧

豊田正博@淀川区医師会
一ノ瀬浩一@淀川区医師会
山本義久@阿倍野区医師会
岸田泰弘@生野区医師会
粟田正憲@豊中市医師会
高橋 徳@高槻市医師会
山本降一@大阪医科大学
志水孝久@西宮市医師会
武内成治@広島市医師会
牛尾剛士@広島市医師会
曽我部俊二@広島市医師会
片岡 正@川崎市医師会
秋山昌範@国立国際医療センター
富田雄二@宮崎県医師会
岡本克実@高崎市医師会
飛岡 宏@岡山市医師会
角南 安@岡山県医師会
西本主佑@岡山県医師会
小川利彦@岡山市医師会
鈴木吉彦@済生会中央病院

縄嘉津記@伊勢崎佐渡医師会
田尻敏行@中津市医師会
安陪隆明@鳥取県東部医師会
吉岡春紀@玖珂郡医師会
和田佳文@西条市医師会
吉田浩晃@大牟田医師会
末光清貞@松山市医師会
佐伯光義@松山市医師会
岸本 尚@松山市医師会
谷水正人@四国がんセンター
越野陽介@岐阜市医師会
村下弘晃@岐阜市医師会
飯沼順平@岐阜市医師会
河合直樹@岐阜市医師会
吉岡秀起@奈良市医師会
吉村 研@有田医師会
古田雄彦@愛知県医師会
藤谷哲造@神戸市医師会
河合 潔@羽島郡医師会

     (順不同、敬称略)

3. 討論

研究会では全員参加のディスカッションが原則です。テーマを絞るために指定発言をお願いしています。


【指定発言】「医師会ネットワークのための背景考察」
                       岡山市医師会 飛岡 宏先生
【指定発言】「医療情報セキュリティの最近の話題」 
                       大阪医科大学 山本降一先生
【指定発言】「医師会ネットワーク構築の技術的な諸問題」
                       岐阜市医師会 越野陽介先生
【指定発言】「高崎市医師会のネットワークの構築について」
                       高崎市医師会 岡本克実先生
【指定発言】「イントラネット・FAXサーバーシステムと電子文書配信」
                        岐阜市医師会 河合直樹先生
広域医療情報研究会世話人 50音順
愛媛県松山市医師会    末光清貞
大阪府高槻市医師会    高橋 徳
群馬県伊勢崎佐波医師会  縄嘉津記
兵庫県西宮市医師会    西本洋二
岡山県岡山市医師会    飛岡 宏
和歌山県有田医師会    吉村 研
当日の会場の模様(岐阜市医師会のご厚意による)

【指定発言】  「医師会ネットワークのための背景考察」     岡山市医師会 飛岡 宏先生 今回はヲタクとは関係の無い話。日本の医療の今後の流れとネットワークと の関りを大局的に眺めてみたいと思う。内容としては偏り、間違いが多いと 思ってほしい。極論なので、このような意見があると程度に考えて欲しい。 これにより今後の医療の情報化の方向を正しく理解して欲しい。 ◆ 医療構造改革とはどういうものか?  アメリカからの医療関連産業への市場解放圧力  21世紀のシルバービジネスと情報基幹産業から医師を絞め出そうとしてい  る。医療関連産業への自由競争原理の導入を試みようとしている。巨大資  本が入ってくる。社会主義的構造から自由主義的構造への変革。 ◆ 総医療費抑制政策  a)保健・医療・福祉・介護の切り分け  b)医療構造改革   ・診療・医療の機能分担     ・診療所と病院の機能分担       病院の役割 :救急医療、急性期医療       診療所の役割:外来医療、在宅医療     ・長期療養病床群     ・病院の外来の縮小化   ・ 医療の標準化     ・厚生省の病名コード       アイテム・コードの標準化が進行中     ・病院の評価はなぜ必要か     ・ケマップ・クリティカルパス・EBMなどの標準化が進行中   ・ 連携医療の推進     ・医療・保健・福祉・介護の連携     ・ケアマネージャーの存在   ・ 電子カルテの導入     ・病院の電子カルテ(HL7の延長線)     ・診療所の電子カルテ(連携医療)     ・医療・福祉・介護連携の電子カルテ     ・電子カルテの功罪       医療情報の個人への還元       医療連携の効率化に寄与する       医療に関係する人員の削除(リストラ)         →金になるから電子カルテを使おうという          モティベーションが必要  c)介護保険の導入   ・介護保険事業計画(地域介護計画)   ・平成12年4月に導入   ・平成15年に再評価開始   ・平成17年に第一次改訂    ・地域医療計画・地域介護計画の刷り合わせ     ・長期療養型病床群の一本化     ・地域による医療・介護供給体制のバラつき問題    ・地域医療計画の縮小(総医療費抑制)  d)保険制度改革   ・公的介護保険、私的介護保険   ・公的健康保険、私的健康保険(?)   ・(生活保護)      →憲法で保障されている最低限のところだけ保障して、       それ以外の部分は個人の責任に任せようとしている       のでは無いか? ◆ 医療構造改革の問題点(医師の視点から)  (1) 純粋な医療費の削減    ・医療機関の経済規模の縮小    ・自由診療の規制緩和  (2) 純粋な医療機関の削減    ・中小病院、有床診療所の介護施設化    ・医師過剰時代     ・これから医療関係者になる人々の医療現場の確保     ・米国式の資格制度、専門医制度の導入     ・保険医資格試験の導入     ・保険医70才定年制の導入    ・医療供給体制の地域間格差     ・過疎地域での医療供給不足     ・ネットワークによる遠隔地医療       電子カルテとテレビ電話     ・交通網、輸送手段の整備       救急ヘリコプターなど    ・急性期医療・在宅医療だけで医療レベルが維持できるのか    ・先人達が戦後より作り上げた高い医療レベルを維持しながら     効率だけを上げる事は可能か?     ・肺結核罹患率の上昇     ・医療レベルを下げるには時間はかからないが、      元に戻すには時間がかかる。  (3) 医師会の政治的発言力の低下 ◆ 医師会ネットワークの役割  (1) 日本医師会の役割の強化    ・政治的圧力団体としての役割     ・情報流通手段の確保        →情報を受けたくない人はそれでいい。         情報の格差があってもかまわない。         情報格差について地域の同意を取る事が必要。    ・社会情勢の変化による組織の老朽化と存在意義の再定義     ・参議院選挙比例代表区「宮崎議員の順位」    ・上意下達の構造を変える必要がある    ・意志決定の時間を短縮する  (2) 社会主義体制(医療)の崩壊(リストラ)の速度を下げる    ・ロシアは12年かけて自由化に失敗している    ・中国は天安門事件より10年かけて穏やかに移行している    ・リストラの時期は米国の情勢により左右される  (3) 患者の選択幅を広げる医療システムを構築するための意見を集める    ・患者さんが者さんがニーズに応じて医療・福祉・介護を選ぶ時代    ・保険金を支払っている人の権利が優先される
(秋山)一言で言うと介護保険に関しては認識部足。情報公開は厚生省に関 しては随分できている。情報化を急ぎすぎるという事に関して。最先端のと ころと遅いところとの格差が広がっているから急ぎすぎるという印象が出て くるのでは無いか?愛媛が医師会情報化のブレークスルーとなったように、 岐阜市の事務処理OA化や新宿における病診連携システムのように、実証実験 を積み重ね、いろんなところで改良しながら全国に広げるには20年くらいか かると思う。世界中で日本ほど情報化が遅れているところは無い。情報公開 やネットワークを目的と考えるのは間違い。医療の中の格差が大きくなる。 もっと儲かる病院も出てくる。今の医療は護送船団方式でやってきた。 金融システムと同じ。情報公開=規制緩和だから、つぶれる診療所が出てく る事を認める事。平成12年から医療制度変わる。それについて行けない医療 機関はつぶれる。 日本医師会として儲かる医療機関、つぶれる医療機関が出るのを認めるの か?それを認めないのか?医療費だけが右方上がりでいいのかという事にな る。医療費のパイは小さくなるのは間違い無い。しかし、医療・福祉全体で 見るとパイは増えていくと思われる。つまり、介護や福祉のほうではますま す増えていくだろう。この変化を説明する。医療費に関して、製薬会社、流 通等の副次的なものを除き、収益を医師が独占できていた。これからは、同 じ医療費を国民皆保険という計画経済=一定の収入が保証されるシステムで はなく、介護や福祉という切り口を用いて、医師免許がなくてもできるよう に規制緩和することで、資本主義経済の論理を導入するということである。 つまり異業種が参入してくるということで、競争が激化する。 情報ネットワークに関しても同じ。つまり、情報公開が進む=規制緩和、と いうことに他ならない。そうすると汗をかいた量に応じて身入りを大きくす るのは当然。介護保険に関しては医療の中に他の資格を持っている人が入っ てくるという事。 情報化を進めると必ずつぶれる診療所が出てくる。小さな診療所が生き残る には情報ネットワークが必要になる。何もしなければつぶれる。早く情報化 を進める事がむしろつぶれる診療所を救う事になるのではないかと考えてい る。個人商店がコンビニ等のチェーン化することで生き残りを諮ったように 、診療所もネットワークを利用して、仮想総合病院や病診連携に対応するこ とで、生き残っていけると思う。 (飛岡)一番違うのは情報化のスピードに関する認識。 (角南)このような会に出席するとgeneration gapを感じる。あと10年すれ ば変わると思う。 (高橋)日医も最近は日医総研から出てくるデータを元にした施策を打ち出 している。医師会の情報化の推進にはこういう一面もある。 (末光)医師会の中で70歳過ぎると意見の違いが大きくなる。70歳を過ぎれ ば医師会の役職を離れるべきである。


【指定発言】

「医療情報セキュリティの最近の話題」

                     大阪医大 山本隆一先生

セキュリティーの話は暗い。保険的な意味あいのもの。包括的電子保存がgo
になる予定。規制緩和の流れで待ったが効かない状態。出来るだけ使う側に
便利なものであってほしいと考えている。
■ ネットワークとセキュリティー
● 専用ネットワークと汎用ネットワーク
  安全性についてはインター、イントラと考えずに『危険なネットワークを
使っている』という認識を持つ事が大切。インターネットは汎用で冗長。冗
長であるという事は丈夫である、という事につながる。ただしクラッカー、
八ッカーからは守らないといけない。
 ファイアウォールも50万円を切ってきた。これを置いている事で安心感が
違う。電子メールは全データを送る事が出来るもの。オリジナルデータを送
る事も可能。証明書付き電子カルテデータを送るのが実際的。
今年中にOTP Generatorが使えるようになる。One time passwordが発信時刻
等から生成される。PEPOPServer内であればシームレスに使えるようになる。
手続き上の問題で配布が遅れている。そのことにより、暗号の種類を変更し
た方がいいかも知れないという問題を生じている。
認証局に関しては公的機関がそれを持つという方向には無い。行政は責任を
取る方向には無い。銀行と同じような理屈で信用度が決まると思う。

● 『診療記録およびその他の法的に保存義務のある診療に関する諸記録の
電子保存推進についての要望      日本医療情報学会』

●診療情報システム運用ガイドライン(案)

IS&Cの当初のものは非常に使いづらいものだった。デバイスドライバまで指
定されたものとなると、ハード的にも大きな制約を受ける事になる。それら
の経緯もあり、学会としては厚生省に積極的に意見を言う事にした。それが
上記の要望書。

(安陪)証明書の発行について。厚生省がしないとなると、同じ地域の医療 機関はそれでよくても、遠く離れた地域の小さな診療所については信頼がで きず困ることになるのではないか? やはり厚生省なり日本医師会なりの公的 機関が認証局をした方が望ましいと考えられるが? (山本)VISAかDINNERSかという問題になる。これを公的に行うかコマーシ ャル的にやるのかという事。許認可よりももっと厳しい条件になる。国際的 にも国の規模で行っているところは無い。地方だけのカードだと非常に不便。 日医がやるのはあまりお薦めできない。作業量が膨大。日本のTTPになりた いというところは出てきている。その方向で行く方が健全だと思う。 (松山市医師会)PEPOPが使えるのはいつか? (山本)今でも使える。ICATが作った暗号を使っている。ライセンスに 関して詰めている段階。楕円曲線を使った暗号を使っているところが問題。 RSAの特許が2年後に切れるので、輸出規制を緩和してきている。ヨーロッパ などではRSA暗号が広がる傾向にある。PEPOPはBSD-OSで動くのでRSAで行く という事が決まれば今年中には使えるようになる。 (秋山)一番心配なのはコストの問題。IS&Cに関して補足しておきたい。画 像の電子保存は、IS&C以外の規格を認めていないわけではない。認めている が、規格化するコストに比べ需要が少ないので、独自に開発しても、開発費 を回収できる見込みがなく、儲からないので、他の企業からIS&Cに代わる規 格が出て来ない。ベンチャーが他の規格を出してきた時に、倒産した後の保 障をどうするかが問題。 厚生省は認証に関しては何もしないという姿勢。規制緩和は自己責任が強く なるという事。これから医師会独自で法的にも公的にも対応しなければなら ない。医師会に損害賠償請求が来た時に対応できる資金力があるとは思えな い。そこまで規制緩和してもいいのか、という不安がある。 (山本)電子保存に関する規制緩和。医療法上のもの。これは各医療機 関の責任の範囲のもの。紙から電子に変えてもいいよ、ただし電子になって も責任は今まで通りに持たないといけないよ、という事だと考えている。 最も初期のIS&C的なデバイスまで規定しているものがいいのか、今回の情報 学会からの規定のように軟らかなものがいいのか(メーカー側よりも使う人 の責任が強い=カルテ用紙メーカーよりもカルテを運用する人に責任があ る)。 (秋山)個人認証をどこでやるかという事にも入ってくる。パスワードだけ だと不十分という事でEC(電子商取引)はICカードを導入した。 私個人としては第三者による認証機関が必要だと思う。処方録の交換という 事になると『誰が』という扱いが大切になってくる。そこまで考えて、この 要望書は規定しているのか? (山本)規定していない。技術の内容までは言及していない。 (秋山)そうなると『運用ガイドライン』が実質的なものになると思う。し かし、これでは実際的では無いのではないか? (山本)その通り。現実的には『堅い取り決めはしてくれるな』という事。 個人認証はパスワードだけでいいとは思わない。生体認証で指紋や虹彩パタ ーンで認識するのが一番いいと思う。認証に関しては利用者情報の共有化の ようなものが必要になる。院内での利用者認証の共通化も必要。そのprotocol を共通化しておけば、不可能では無いし今後の課題としたい。  
【議事】 ・広医研世話人の追加 :河合直樹先生、岡本克実先生 ・第4回の広医研:12月5日、熊本にて開催 ・第5回  〃 :来春、松山市で開催 ・第6回  〃 :来年のCOMINESにリンクして開催 以上、承認                      
【指定発言】「医師会ネットワーク構築の技術的な諸問題」                 

               岐阜市医師会 越野陽介先生

旧ネットワークサーバーの概要
PC/AT互換機、WindowsNT4.0Server、回線接続アナログ、ISDN
→技術的な問題点:
  システムの能力・安定性・信頼性:システムの突然のダウン
  周辺機器の信頼性:モデム、TAがすぐに落ちる
  FAXServer・医師会内LANとの共有
  セキュリティーの問題
  インターネット・アクセスの速度
(1) システムの能力・安定性・信頼性
  H/Wの能力は十分なのにNT4.0が十分では無い。
  NTを採用した理由:FAXクライアントからリモートでFAX処理をしたい。情
  報処理医院がWindowsを使っている。GUIで設定できるから。
  →動作が不安定でクラッシュしやすい。カーネルの作りが悪い。H/Wの性 
  能を出し切ることができない。ソフトウェアが高価である。セキュリティ
  等にかかわるBug fixが遅い・されていない。ソースコードが無い。
・ FREE UNIXの場合は…
  動作が安定していて速い。ネットワークを考えて設計されている。H/W資
 源が少なくても十分運用できる。最低限必要なソフトを無償で入手できる。
  セキュリティ等にかかわるBug fixが速い。OSのソースコードが入手可能
  である。
・ Free UNIX OS:LinuxとFreeBSDが2大巨頭

新ネットワークサーバーの製作
1号機:Dual-homed gateway,DNS,WWW
        自作Pentium 100MHz
2号機:Intranet server
・DNS、MTA、POP、WWW、NN、Proxy service、NTP、etc
Network Services on UNIX
 DNS:bind-8.1.2
 MTA:sendmail-8.9a→spam対策可能
 POP3:wpopper-2.5.4
 WWW:apache-1.3.1
 NTP:xntpd
 SSH:ssh-1.2.26
 NetNews:INN-2.2.1
ネットワークサーバ運用のポイント
・まっとうな管理者が必要
・ボランティアで運用されている
(2) 周辺機器の信頼性
 モデム、TAは必ず落ちる→高価で安定性のあるものに変更して空調をきち
 んとする。
 接続回線数の目安:10〜15人に1回線程度。200人規模の場合はINS1500が
 適当
・新ネットワークでの公衆回線接続
 Dial-up Serverを使用、回線はINS1500に変更、ユーザー管理はradiusで
 行う→欠点:少なくとも300万円程度の費用がかかる。
・Radius Server
 会員のアカウント、パスワードの一元管理が可能である。
 Serverを使用する場合のコツ:Ascend MAXを使う場合はAscend版のradius
 を使う必要がある。
(3) セキュリティの問題
NTに起因する問題→OSの変更により解消
CERT、JPCERT/CCが報告している各種のセキュリティ問題→daemon
program
の修正を適切に行う。
・セキュリティを保つには
 不要なアカウントの削除、余計なものは動かさない、設定ファイルのパー
ミッションを適切にする。フィルタリングをきちんとする。外部からはssh
のみを許可する。
■ 新ネットワーク・システムでのセキュリティ
ISDNルータ(RT102i)における対応
今後のネットワークをどうするか
 FirewallマシンからWWWServer部分を緩衝セグメントへ独立させる
 官公立病院との専用線接続を行ってHUBを形成する

(秋山)ほとんど言いたい事を言って下さった。sshは内部にも必要か と思っている。電子カルテなどを使う場合はsshを内部向けに使った方 がいい。 PPPがセキュリティーホールになりやすいので、one time passwordを 使った方がいいのではないか。 (越野)医師会員は基本的に善であると考えている。 one time passwordを最初から使うと初心者はアレルギーを起こす心配 があるので、先になってから使う予定。内部のイントラネットサーバ ーにはsshを使う。 (秋山)TAとモデムが落ちるという話はいろんなところでやってきて Dial-upServerの導入を勧めたが、必要性が認識されず相手にされな かった。実はここが一番大切なところで、いろんなところで強調して ほしい。医師会幹部にその点をどうやって説得したのか? (河合)段階的ステップが必要で、いきなりDial-up Serverの導入を 認めてもらうことは難しいかもしれない。とりあえずRASでやっている うちに、利用者が増えて回線が混雑したり、TAやモデムの熱暴走、NT が時々ダウンするという不安定さにクレームが出るようになってから 導入してもいいのでは。 (秋山)二重投資になるという意見は無かったのか? (河合)FAXサーバーとイントラネットを同じ回線で利用しているため 、お互いに制約を生じ、むしろ利用者から切り離して欲しいという要 望があった。 (末光)自宅でNTServerを立ち上げているが2日に1回落ちている。も っと安定化すれば、使いやすくなると思う。 (越野)NTが安定化するには相当な時間がかかる。期待しない方がい い。BSDなどはプレインストール機が販売されているので、それを利用 するのも一法。 (末光)松山市ではNTServerを立ち上げようと考えているがやめた方 がいいか? (越野)やめた方がいい。それからルーターはYAMAHAが安定している。 (縄)lilyが死んだ時もYAMAHAのルーターは生きていた。 (飛岡)UNIXはどのバージョンがいいのか?NTServerはメモリを多く すれば安定するというのは本当か? (秋山)メモリのフラグメンテーションの問題があるのでリブートす る必要がある。 (岡本)NTはメモリの管理が良くないのが致命的。ただ使用用途によ れば使い道は十分ある。 (縄)ウチの病院でもNTServerを使っているが毎日リブートしていれ ば、大丈夫(苦笑)。 (越野)UNIXのパッケージで最初に使う場合には、TurboLinux,RedHat が良いと思う。 (飛岡)LinuxとFreeBSDの違いは? (越野)素性が違うだけ。世界的にはLinuxの方がメジャー。


【指定発言】 「高崎市医師会のネットワークの構築について」

                     高崎市医師会 岡本 克実先生

今までは県医師会のレベルの話をしてきたが、所属郡市医師会のシステム
委員長としてどんな仕事をしているかを紹介したい。
まず最初に、越野先生があげられた、UNIXサーバー採用の条件として、
「まっとうな管理者」という条件があったことを思いだして欲しい。
私も10年前からUNIXをさわっているが、まっとうな管理者になるのはたい
へん難しいことである。もし、充分にUNIXサーバーの管理が出来る能力が
あればちょっとした企業の情報部門を高給で勤めることができるだろう。
それだけの労力をはらって勉強しボランティアでただで医師会のために働
き犠牲になるという覚悟があるかどうか・・、またあったとしても長続き
せず、結局自分の首を閉める結果になりかねない。

今回のシステムが構築された経緯をまず説明しておきたい。約3年前の12月に
高崎・地域医療センターの既存の検査システムのリプレースが予定され、
この業務システムに、検査結果のオンライン検索と医師会のグループウェア
をドッキングさせたものである。

【高崎・地域医療センターシステム概要】
基本コンセプト:リレーショナルデータベースによるデータの蓄積、UNIX
ワークステーションによる高速RDBM、tree-tierd modelによるC/Sシステム。
・検査データシステムがベース
・TCP/IPによるネットワーク
・ユーザー---ビジネスプロセスServer★---DBServer/Notes Server
(医師会員)
★この部分(ミドルウェアとも呼ばれる)が遅いというクレームが
 おきやすい(オーバーヘッドが大きい)(JAVAが動き出すまで時間がかかる等)
  NetDynamicsというミドルウェアは比較的速いし開発環境として優れている。
  いまであれば、この部分を自分で作っていくのも可能。(JDBCなど)
・バーコード入力による省力化(患者IDをバーコード化して個別情報の再入力
 を省く)
・ユーザー側にアプリケーションをインストールする必要が無い。サーバー側
 だけの管理で済む。
・ 臨床検査システム:自動分析機のデータを吸い出してDB Serverで管理して
   いる。(この部分は、いままでの検体検査システムと同じ機能)
・ 臨床検査データオンライン検索システム:
 医師会検査センターに出した過去の自院のデータを検索できるシステム。
・ 検診システム:企業検診、国保人間ドック、市役所職員検診など
・ グループウェア:Lotus Notes/DOMINOServerによって構築されている
   多目的文書管理システム
      非定型の文書データーの管理が可能。主として、会報や
      通達文書などの管理を行う。高崎医師会では、いままで
      のワープロによる文書作成をパソコン上のワープロファ
      イル(Ward)を使うように既に変更済。作成した文書ファ
      イルを登録すればそのままWWWサーバーから閲覧でき、
      しかも必要なら手もとで印刷可能。検索もできる。
   行事予定などのスケジュール管理(医師会、看護学校、医療センター)
   医師会員の出向スケジュール管理(当番医、予防接種、検診出場など)
   ディスカッションシステム(各種委員会、理事会などを予定)

【オープンアーキテクチャーの功罪】
利点:
 非常に柔軟なアプリケーション
 機種に依存しない開発環境、ユーザー環境
 (演者注:もう一つNetDynamicsなどのミドルウェアを使えばDBによる
 依存も取り除ける)

欠点:
 JDKなどの発展途上の開発環境における制限が存在する
 (具体的にはアプレットのウィンドが印刷できないなど)
 業務系アプリケーションと一体化して作ったので混在させる
 難しさが運用上ある
  (演者注:オンライン検索などのWWWブラウザーを使ったシステムと
  検査業務などの業務系システムでは、慣れの問題もあるが業務の流れ
  や使い易い画面などが異なることが多い。両者を一つにまとめる場合
  この点を考慮する必要がある。)

【今後の展開】
(1) 会員への導入→インターネット導入パック(NTT):gunma.med.or.jp
    の管理は地元のプロバイダにしてもらった。NTTにはISDN回線とイン
    ターネット接続環境の設定、場合によってはPC本体も含めて、
    パッケージ化して協力してもらった。
(2) 初心者向け講習会(250名の会員中、100名あまりが参加した)
(3) 導入後の評価および発展
(4) インターネットとの接続:どの接続方法が費用対効果がいいのか検討中。
(5) エクストラネット:外から中が使えればいいのだが今後の課題。

◆ 実際のオンライン接続デモ:ユーザーIDとパスワードで入る。
患者と日付で検索出来る。臨床検査のデータが貯蔵されているDBServerから
コピーServerにデータを引き出して時系列にデータを検索する事ができ
る。データのダウンロードも可能。院内測定検査項目の登録もできる。

(秋山)同じような事を薬剤の副作用システムでも作ったが、今問題になっ ているところは同じではないかと思う。他の医者との切り分け、セキュリテ ィーを守る方法。法的に、患者のプライバシーが流用された場合の対策は? (岡本)当面、自医療機関の分だけ閲覧可能にしている。将来的に検査 データーを自医療機関以外でも見やれる必要が出た場合、個別に何らかのト ラスティーを与えるような仕組みを考えている。 (秋山)その場合の認証はどうするか? (岡本)地域の医療機関なので、お互いの医療機関の間で解決できると思う。 そもそも、患者さんの検査データは患者さん自身にコントロールする権利が あると考えるべき。検診データなどでも前年度データを参照できれば有用性 が高まる。shareしないと意味が無いものをshareするのは当然だが、それと 患者のプライバシー保護との両立は、個人情報保護条例などのからみもあり なかなか難しい面がある。しかし、そのことよりも、診療にかかわる情報を 患者さんと積極的に共有し診療に役立てることにこのシステムの意味がある。 (秋山)患者さんが自宅で自分のデータを見たいという話が出てくるかもし れない。 (岡本)そこまでのシステムは今のところ考えていない。ISDNの発信者番号 通知と個人(医師)のID、Passwordで管理している。 (高橋)当院の契約している検査センターのソフトは認証の部分を完全に ブラックボックス化している。当地区医でもマルチネットデビューMを会員 に紹介し30人くらいが興味を示し、12名が年内に契約する見込みで、単に インターネットを推奨するよりも効果があった。 (岡本)ソフトウェアの開発や構築に関しては、自分では手を出さないよ うにしている。熟慮しないと、自分で自分の首を絞める事になると思う。 (秋山)Dominoはお薦め。やはり、医者はネットワーク管理者にはならない 方がいいと思う。 (縄)OCNを使う予定なのか? (岡本)これは3年ほど前に書いたスキーマ。現在はOCNを使っていない。 パッケージはマルチネットデビューMのOCN抜きの状態で使っている。 (演者注:接続先プロバイダーは群馬インターネットだが、プロバイダー 契約は医師会と行われ、メールIDも群馬県医師会が管理している。 支払いも医師会にたいしてする) (縄)複数の医療機関の患者IDをどう扱っているか? (岡本)検査センターでは医療機関のIDとは関係無く振り分けている。 バーコードを利用しているのは、管理を用意にするためで。医療機関には 発行されたバーコードを、カルテにはっておき、また、検体を依頼する ときに検査依頼書と、検体にもシールとしてはるようになっている。 これで、医療機関側にも記入の手間が省け、ご記入もなくなるという メリットがあることで理解してもらっている。


【指定発言】 「イントラネット・FAXサーバーシステムと電子文書配信」

                     岐阜市医師会 河合直樹先生
(1) 岐阜市医情報システム
・沿革
   H8.12 イントラネット実験サ−バ−開始
  H9. 4 NTサ−バ−を設置し、FAX Server運用開始
    H9. 7 イントラネットServer運用開始
    H10.1 インターネットServerを設置し、ファイアウォ−ルを経てインタ−ネット
     と接続
  H10.9 インタ−ネット・イントラネットサ−バ−をNTからUNIXに変更
     ダイヤルアップサ−バ−・INS1500を導入、FAX Serverとその回線を分離
・普及率(医療機関ベ−ス) FAX:97.6%、イントラネット:35.8%
・FAXServerシステムの概要
  WindowsNT4.0Server+まいと−くACSで構築しテキストベースで運用
  あらかじめ種々の送付状を作り、文章の長さによって送付状を選択
  FAX文書作成は送付状にテキストを貼りつけるだけ
・イントラネットの現状
  加入者は220名(岐阜市医138名の他に岐阜市外の開業医、官公立病院勤務医等)
  イントラネット内のe-mail利用状況:全員一斉メール合計1800通以上
(2)県医・市医通達文書の電子化とネットワ−ク配信
・ 概要
  平成10年4月から岐阜県医、市医から会員に配信する通達文書は原則として全てテ
  キスト化。
  県医→イントラネットServer→各医療機関宛にe-mail&イントラネットHP and/or
  FAX。
  メ−ル(テキスト)の場合
  県医→市医は添付メ−ルを用いるが、市医→会員は添付メ−ルは使用せず(サ−
  バ−への負荷、会員が添付メ−ルを展開するかどうか懸念されるため)
・通達文書電子化のメリット
  郵送、業者のFAX一斉通信等に比し通信コストが安価(3分10円)
  事務局の印刷やコピーが不要になる(→県医の方も積極的であった)
  文書配達の労力が不要
  e-mailの場合、会員も分書類の保存が容易
  内向けホームページに掲載しているため見たい時に文書の閲覧が可能
(3)イントラネット構築の意義
・イントラネットHPの運用やメールの利用により、各種内部情報の伝達や取得が容易
・プロバイダとの契約が不要
・他のイントラネットとの接続(エクストラネット)が可能
・med.or.jpの発行が容易に可能

(4)デモ
・FAXサ−バ−の操作法
・岐阜市医イントラネットホームページの内容説明
・イントラネット内のe-mailの紹介

(和田)イントラネットの欠点は?愛媛の場合はアクセスポイントの問題、出張時 のアクセス、プロバイダ代行などいくつかの問題が出てきている。 本当にイントラにしなければいけない情報というのはどの程度あるか?郡市ではど うか、都道府県医師会ではどうかという点も併せて。 (河合)アクセスポイントに関しては郡市の場合は愛媛県よりも地域が限定されて いるので問題は少ないと考えている。イントラーイントラ間の結合等はイントラの 利点と考えられる。med.or.jpも可能なので天秤にかけるとプラス面の方が大きい と感じている。岐阜市医では理事のイントラネット普及率は50%以上あり、理事会 や会員のバックアップがあって、追い風状態にある。  一方、イントラネット構築において人的な面と費用が最も大きな問題と考えられ る。人材としては、医師会事務局にパソコン専門職員を配置して、サ−バ−やホ− ムペ−ジのメンテナンス、ユ−ザ−会員のサポ−ト等にあたっている。岐阜市医で は全てのシステムを自分たちで構築したため、当初のNT Server(イントラネット+ FAX Server)の構築費用は百数十万程度、今回のUNIX ServerとDial-up Serverの 導入、INS1500導入は合わせて300万程度と極めて安価に構築できた。人的問題と費 用さえクリアできればイントラネットはメリットの方が大きい。 (秋山)医師会情報システムで必要なのはヒューマンウェア。岐阜の場合、は河合 ー越野コンビという強力なスタッフがいる。医師会の上の立場の方々にどれだけこ のようなシステムが理解されるかが大きなキーワードになる。また医師会員がボラ ンティア的にシステムを運用していても必ず限界が来る。それをいかにしてクリア ーして行くかというところが大きなポイントになるのでは無いかと考えている。 (古田)平成4年から愛知県の医療情報システムを担当しているが、なかなか上層 部の理解が得られないところがある。かなりの時間がかかりながら情報化を進めて いる。医師会の上層部には「少数のインターネット・イントラネット利用者に対し て巨額の投資をしていいのか」という声があるので、その点などにも配慮してほし い。当県医では主に補助金でシステムの構築・運用を賄っている。

インター医師会ネットへ戻る
himedarumaホームページへ戻る